北海道の待機児童数の実態2026。札幌市8年連続0人の裏にある「隠れ待機児童」問題

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「北海道は人口減少が進んでいるから、保育園の待機児童問題とは無縁なのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし実際には、統計上の「待機児童ゼロ」という数字の裏に、希望する園に入れない「隠れ待機児童」という見えにくい課題が存在しています。これから北海道へ移住する方や、道内で第二子・第三子の保活を控えている方にとっても、実態を正しく把握しておくことは重要です。この記事では、最新のデータをもとに、北海道の待機児童の実態と、その背景にある構造的な問題について詳しく解説します。

目次

全国の待機児童数は過去最少を更新

こども家庭庁が発表した令和7年(2025年)4月1日時点の調査によると、全国の待機児童数は2,254人となり、調査開始以来最少を更新しました。前年からは313人の減少です。待機児童が発生している市町村数も211市町村と、前年から6市町村減少しています。このうち、待機児童数が100人を超える市町村は全国でわずか1市町村のみとなっており、待機児童問題は全国的に大きく改善が進んでいる状況にあります。

年齢別に見ると、待機児童2,254人のうち0歳から2歳児が2,041人と全体の90.6%を占めており、3歳以上は213人にとどまっています。低年齢児の保育需要への対応が、依然として大きな課題であることが分かります。

札幌市の待機児童数は8年連続0人

北海道最大の都市である札幌市では、2025年4月時点の待機児童数が8年連続で0人となっています。全国的にも待機児童ゼロを達成する自治体が増える中、札幌市はその代表例のひとつと言えるでしょう。2025年4月時点で、札幌市内の保育施設数は558施設、入所定員は35,224人に達しています。

この背景には、幼稚園から認定こども園への移行を積極的に進めてきたことや、「札幌市保育人材支援センター さぽ笑み」を通じた保育施設と求職者のマッチング支援など、市による継続的な取り組みがあります。就学前児童数そのものは減少傾向にある一方で、共働き世帯の増加などにより保育所等の利用希望者数は微増しているというデータもあり、行政による受け皿整備が需要の増加をしっかりとカバーしている状況がうかがえます。

「待機児童ゼロ」の裏にある隠れた課題

ただし、「待機児童数0人」という数字だけを見て、保活(保育園探し)に問題がないと判断するのは早計です。待機児童数の統計上のカウントには、特定の保育園を希望して入所を待っている「隠れ待機児童」は含まれていません。札幌市では、2023年度に希望の園に入れなかったなどの理由で入所を保留した児童が737名にのぼったというデータもあります。

つまり、「待機児童ゼロ」という統計上の数字は、あくまで国の定義に基づく集計であり、保護者の実感としての「入りたい園に入れない」という悩みとは、必ずしも一致しないということです。特に人気の高い認可保育所や、駅前・オフィス街に近い利便性の高い園では、依然として競争率が高い状態が続いていると言われています。

北海道内における地域差

北海道は人口減少が進む市町村が多い一方で、札幌市への人口集中が続いているという二極化した構造を持っています。人口減少が著しい地方の市町村では、そもそも子どもの数自体が少なく、待機児童問題が起こりにくい環境にあります。一方で、札幌市やその近郊の江別市・北広島市・石狩市など、子育て世帯の転入が続くエリアでは、保育需要が局所的に高まりやすく、人気園への入所競争が起こりやすい傾向があります。

北海道庁の保健福祉部子ども政策局では、市町村ごとの保育所等の定員数・利用児童数・待機児童数を毎年公表しており、地域ごとの詳細な状況を確認することができます。北海道内で保活を考える際は、市町村全体の待機児童数だけでなく、希望するエリア・園における実際の競争率を確認することが重要です。

なぜ待機児童数が減っているのか

要因①:少子化による就学前児童数の減少

最も大きな要因は、少子化の進行による就学前児童数そのものの減少です。北海道は全国の中でも人口減少・少子化が早いペースで進んでいる地域のひとつであり、保育需要の絶対数が減少していることが、待機児童数の減少に直結しています。

要因②:保育施設の整備が進んだこと

国や自治体による保育所等の整備が進み、受け皿となる定員数が拡大してきたことも大きな要因です。特に、企業主導型保育事業や、小規模保育事業といった多様な保育の受け皿が広がったことで、これまでカバーしきれていなかった保育需要にも対応できるようになってきました。

要因③:幼稚園から認定こども園への移行

幼稚園が認定こども園へ移行することで、保育を必要とする家庭の受け皿として機能するようになったことも、待機児童数の減少に寄与しています。札幌市をはじめ、道内の多くの自治体でこの移行が進められてきました。

保活を進める上でのポイント

北海道内で保活を進める場合、まずは希望するエリアの市町村が公表している「保育施設一覧」や「入所待機児童の状況」を確認し、施設ごとの定員・空き状況を把握することが第一歩です。札幌市のように待機児童数が0人であっても、人気の高い園では入所が難しいケースがあるため、複数の園を候補として検討しておくことをおすすめします。

また、認可保育所だけでなく、認定こども園、小規模保育事業、企業主導型保育事業など、多様な保育の選択肢を視野に入れることで、希望に近い形での預け先を見つけられる可能性が広がります。自治体の子育て支援窓口や、保育コンシェルジュといった相談窓口を活用するのも有効な方法です。

待機児童数の定義を正しく理解する

そもそも「待機児童」とは、国の定義上、保育の必要性が認定されているにもかかわらず、保育所等を利用できていない児童を指します。ただし、この定義には重要な例外があります。特定の保育園のみを希望している場合や、育児休業中で復職の意思が確認できない場合、自治体が独自に補助する認可外の保育施設等を利用している場合などは、待機児童数の集計から除外されることが一般的です。

この結果、「自宅から通える範囲に複数の候補があるにもかかわらず、第一希望の園にこだわって入所を待っている」というケースや、「やむを得ず認可外保育施設を利用している」というケースは、統計上の待機児童数には反映されない仕組みになっています。これが、いわゆる「隠れ待機児童」と呼ばれる存在です。保護者の実感と行政発表の数字にズレが生じやすいのは、こうした定義上の仕組みが背景にあるのです。

共働き世帯の増加と保育需要の変化

北海道でも全国と同様に、共働き世帯の割合は年々増加しています。総務省の就業構造基本調査などのデータからも、子育て世帯における共働きの割合は上昇傾向が続いており、これに伴って0歳から2歳児を中心とした低年齢児の保育需要は、少子化による児童数の減少ペースほどには縮小していないという指摘があります。

特に札幌市のような都市部では、育児休業からの復職タイミングに合わせて、生後数か月から1歳前後の時期に保育所への入所を希望する家庭が多く、この年齢層の枠の確保が保育所運営における大きな課題となっています。全国データで0歳から2歳児が待機児童全体の90.6%を占めているという数字は、北海道の都市部においても同様の傾向があると考えられます。

今後の見通し:人口減少と保育の受け皿のバランス

北海道全体で見ると、人口減少と少子化のペースは全国平均よりも速いというデータが各種統計で示されています。この傾向が続けば、中長期的には保育需要そのものがさらに縮小し、待機児童問題は統計上ますます起こりにくくなっていくと予想されます。

一方で、需要の縮小は保育施設の運営面では新たな課題を生み出します。利用児童数の減少が進むエリアでは、保育所の定員割れや、経営の安定性を維持することが難しくなるケースも懸念されています。「待機児童をなくすこと」から「持続可能な保育の受け皿をどう維持するか」へと、今後は課題の重心が移っていく可能性が高いと言えるでしょう。札幌市近郊のように人口流入が続くエリアと、人口減少が進む地方部とで、保育をめぐる課題の性質が大きく異なっていくことも予想されます。

札幌近郊の子育てエリアで進む保育需要の変化

札幌市中心部だけでなく、江別市・北広島市・石狩市・恵庭市といった札幌近郊のベッドタウンでも、子育て世帯の転入によって保育需要が高まっているエリアがあります。特に、札幌市への通勤・通学がしやすく、比較的住宅取得のしやすい価格帯の物件が多いエリアでは、若い子育て世帯の流入が続いており、地域によっては保育所の新設や定員拡大が追いついていないケースも見られます。

こうしたエリアで保活を考える場合は、居住予定の市町村だけでなく、通勤経路上にある近隣市町村の保育施設も含めて検討する「広域保活」という考え方も有効です。自治体によっては、他市町村在住者の受け入れ枠を設けている保育施設もあるため、選択肢を広げることで希望に近い園を見つけられる可能性が高まります。マイカー通勤が中心の北海道では、通勤経路上に園があること自体が大きな利便性につながる点も、本州とは異なる特徴のひとつです。

認可外保育施設・企業主導型保育事業という選択肢

認可保育所への入所が難しい場合、認可外保育施設や企業主導型保育事業も有力な選択肢のひとつです。企業主導型保育事業は、国の助成を受けて企業が設置・運営する保育施設で、従業員の子どもだけでなく地域住民の子どもも受け入れる「地域枠」を設けているケースが多くあります。認可保育所と比べて入所のハードルが低い場合もあり、特に0歳から2歳児の預け先を探している家庭にとっては、検討する価値のある選択肢です。

ただし、認可外保育施設は保育料の補助制度が認可保育所と異なる場合があるため、利用を検討する際は、自治体の子育て支援制度でどこまで補助が受けられるのかを事前に確認しておくことが重要です。北海道内の多くの自治体では、認可外保育施設利用者向けの保育料補助制度を設けており、条件によっては認可保育所とそれほど変わらない負担で利用できるケースもあります。

保育士不足という別の課題

待機児童数が減少している一方で、保育業界全体では保育士不足という別の課題が続いています。保育所の定員に空きがあっても、保育士の人員配置基準を満たせなければ、実際に受け入れられる児童数は定員より少なくなってしまいます。札幌市が「さぽ笑み」のような保育人材支援センターを設置しているのも、この保育士確保の課題に対応するための取り組みのひとつです。

保育士の待遇改善や、離職した保育士の再就職支援、潜在保育士(資格を持ちながら保育の現場を離れている人材)の掘り起こしといった取り組みは、統計上の待機児童数には直接表れない部分ですが、実際の保育の受け皿の質と量を左右する重要な要素です。今後、北海道内で保育の受け皿を維持・拡大していくためには、施設という「箱」の整備だけでなく、保育士という「人」の確保が引き続き大きな課題になると考えられます。給与水準の改善や、冬季の通勤負担を軽減する働き方の工夫なども、保育士の離職防止には欠かせない視点として注目されています。

よくある質問

Q. 札幌市の待機児童数は本当に0人なのですか?

A. 国の定義に基づく統計上の待機児童数は、2025年4月時点で8年連続0人となっています。ただし、希望する園に入れなかった「隠れ待機児童」は別にカウントされており、2023年度は737名が入所を保留していました。

Q. 北海道全体では待機児童は発生していますか?

A. 市町村によって状況は異なります。人口減少が進む地方では待機児童が発生しにくい一方、札幌市近郊など子育て世帯の転入が続くエリアでは、人気の高い園を中心に競争が生じることがあります。

Q. なぜ全国的に待機児童数が減っているのですか?

A. 少子化による就学前児童数の減少、保育施設の整備の進展、幼稚園から認定こども園への移行という複数の要因が重なった結果とされています。北海道はこれらの傾向が全国平均よりも早いペースで進んでいる地域のひとつです。

Q. 保活で失敗しないためにはどうすればよいですか?

A. 待機児童数の数字だけに頼らず、希望するエリア・園ごとの実際の競争率を確認することが大切です。認可保育所以外の選択肢も含めて幅広く検討し、自治体の相談窓口を活用することをおすすめします。

Q. 年度途中に北海道へ引っ越す場合、保育園はすぐに見つかりますか?

A. 年度途中の入所は、4月の一斉入所に比べて空き枠が限られる傾向があります。転勤や移住が決まった時点で、できるだけ早く転入予定の市町村の子育て支援窓口へ相談し、複数の園に問い合わせておくことをおすすめします。

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まとめ

北海道、特に札幌市の待機児童数は統計上0人という状態が続いていますが、その裏には「希望する園に入れない」という隠れた課題が存在しています。少子化による保育需要の減少と、保育施設の整備という二つの要因が重なり、数字の上では改善が進んでいるように見える一方で、人気エリア・人気園への集中という実態は、今後も北海道の子育て世帯にとって身近な課題であり続けるでしょう。

保活を進める際は、市町村全体の待機児童数という大きな数字だけでなく、実際に希望する園の状況まで踏み込んで確認することが、後悔のない園選びにつながります。

移住・転勤を機に北海道で保活を始める方へ

道外から北海道への移住や転勤で、初めて北海道での保活に取り組むことになった方にとって、地域ごとの制度や申込スケジュールの違いは戸惑いやすいポイントのひとつです。冬季の送り迎えの負担なども含め、本州とは異なる事情を踏まえて準備を進める必要があります。多くの自治体では、4月入所の一次申込を前年の10月から11月頃に締め切るため、引っ越しのタイミングが決まった時点で、早めに希望する市町村の子育て支援窓口へ相談を始めることをおすすめします。

特に、年度途中の転勤で北海道に移り住む場合は、4月の一斉入所のタイミングを逃してしまい、空きのある園を探す形での「途中入所」となるケースが多くなります。途中入所は、年度当初の入所よりも枠が限られていることが一般的なため、可能であれば早い段階から複数の自治体・複数の園に問い合わせを行い、選択肢を広げておくことが望ましいでしょう。北海道は市町村ごとに保育料や補助制度、申込方法が異なるため、転入前にホームページで最新情報を確認し、不明な点は電話でも問い合わせておくと、スムーズに手続きを進めやすくなります。

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この記事を書いた人

北海道で暮らして30年。1児の父親です。
北海道での生活や北海道の観光地など、北海道にかかわることを取り上げていきたいと思います。

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