この記事の要約
北海道のバス運賃は、いま段階的な値上げの真っただ中にあります。2024年12月に北海道中央バスが17年ぶりとなる平均約2割の大幅改定を実施。2026年4月には新千歳空港連絡バスが片道200円値上げされ、札幌都心〜空港間は1,500円になりました。さらに札幌市は、2027年4月から市内路線バスの均一運賃を30円引き上げる方針を決めています(2026年7月執筆時点)。
背景にあるのは、深刻なバス運転手不足です。値上げと同時に路線の廃止・減便も進んでおり、利用者には二重の負担となっています。この記事では、値上げの全体像、家計への影響を抑える具体策、他の交通手段との比較、今後の見通しと利用者が取るべき行動を、順を追って解説します。
【結論】値上げは「一度きり」ではなく「続く流れ」
最初にこの記事で最も重要な結論をお伝えします。北海道のバス値上げは単発の出来事ではありません。数年にわたって続く構造的な流れです。
理由は明確です。値上げの根本原因が「燃料費の一時的な高騰」ではなく、「バス運転手の慢性的な不足」という構造問題だからです。運転手を確保するには賃金を上げる必要があり、その原資を運賃に求めざるを得ない。この構図が解消されない限り、運賃改定は今後も続くと見るのが自然です。
実際、札幌市内のバス運賃は2024年12月に上がったばかりですが、わずか2年余りで2027年4月の再値上げが既定路線となりつつあります。さらにその先には、50年以上続いてきた札幌市内の均一運賃制度そのものを見直し、乗車距離に応じた「対キロ制」へ移行する検討も始まっています。
だからこそ、私は「値上げに文句を言う」だけでなく「値上げを前提に賢く備える」ことをおすすめします。この記事の後半では、そのための具体策をお伝えします。まずは事実関係の整理から始めましょう。
値上げの全体像:時系列で整理する
ここ数年の主な値上げを、時系列で追います。自分に関係する改定がどれかを確認してください。
2024年12月:中央バスが17年ぶりの大幅改定
最も影響が大きかったのがこの改定です。北海道中央バスは2024年12月1日、一般路線バスの運賃を平均19.9%、約2割引き上げました。初乗り運賃は200円から240円に。2007年以来、実に17年ぶりの本格的な値上げでした。
同じタイミングで、ジェイ・アール北海道バス(JR北海道バス)も札幌市内の均一(特殊区間制)路線を改定。札幌市内の均一運賃は1区240円、2区270円となりました。じょうてつなど他の事業者も歩調を合わせており、札幌圏のバス運賃はこの時点で一段階上がっています。
2025年12月:JR北海道バスが対キロ区間でも値上げ
翌2025年12月1日には、JR北海道バスが対キロ区間制の26路線で運賃を改定しました。初乗りは180円から220円へ。平均改定率は24.5%で、こちらは27年ぶりの改定でした。均一区間の外側、郊外方面を使う方に影響した値上げです。
2026年4月:空港連絡バスが片道200円アップ
旅行者・出張者に直撃したのがこの改定です。北海道中央バスと北都交通は2026年4月1日、新千歳空港と札幌方面を結ぶ空港連絡バスなど計10路線の運賃を引き上げました。
主な改定内容は次の通りです。札幌都心発着をはじめとする現行1,300円区間は1,500円に、1,200円区間は1,400円に、それぞれ200円の値上げ。恵庭〜新千歳間は670円から770円に、輪厚〜新千歳間は1,060円から1,220円になりました。往復運賃は400円の値上げ。回数券もスマホ版で400円、紙券で700円上がっています。あわせて、札幌駅前〜三井アウトレットパーク札幌北広島間も380円から500円に改定されました。
2027年4月:札幌市内の均一運賃が再び30円値上げへ(方針決定)
そして直近の大きなニュースがこれです。札幌市は2026年6月30日、市内の路線バス運賃を2027年4月に30円引き上げる方針を決めたと報じられました。
現在、札幌市内では5つのバス事業者が1区240円・2区270円の均一運賃で運行しています。これが2027年4月からは1区270円・2区300円となる見込みです。市内バス事業者5社が運転手確保と待遇改善を理由に値上げを要望し、市が受け入れる形となりました。
念のため補足すると、執筆時点(2026年7月)でこれは「方針決定」の段階です。正式な認可手続きなどを経て確定します。金額や時期が変わる可能性はゼロではないため、最新の発表に注意してください。
なぜ値上げが続くのか?3つの構造要因
「なぜこんなに上がるのか」。利用者として当然の疑問です。感情論を排して、要因を3つに整理します。
要因1:バス運転手の深刻な不足
最大の要因はこれです。北海道に限らず全国的に、バス運転手のなり手が足りていません。現役運転手の中心は50代・60代で、退職が進む一方、若い世代の採用は難航しています。
運転手が足りなければ、路線は維持できません。実際、札幌市内では2026年4月に6路線の廃止と173本の減便が実施されました。値上げは、残った運転手の賃金を引き上げ、新たな人材を確保するための原資づくりという側面が強いのです。「運賃を上げてでも路線を残す」という、苦渋の選択と言えます。
要因2:「2024年問題」による労働規制
2024年4月から、自動車運転業務の時間外労働に上限規制が適用されました。いわゆる「2024年問題」です。長時間労働に頼っていた従来の運行体制が組めなくなり、同じ本数を走らせるにはより多くの運転手が必要になりました。人手不足に規制強化が重なり、需給はさらに逼迫しています。
要因3:燃料費・車両費などのコスト上昇
軽油価格の高止まり、車両や部品の価格上昇、整備コストの増加。バス事業を取り巻くコストは全般的に上がっています。運賃収入だけでは吸収しきれず、価格転嫁に踏み切らざるを得ない状況です。
この3つを見れば分かる通り、どれも短期間で解消する問題ではありません。「値上げは続く流れ」と冒頭で述べた理由が、ここにあります。
事業者別に見る値上げの状況
「自分が乗っているバス会社はどうなのか」。事業者別に状況を整理します。
北海道中央バス:段階的な改定が続く
道内最大手の中央バスは、値上げの動きが最も顕著です。2024年4月に札幌市内均一区間で30円の引き上げを行い、同年12月に一般路線バス全体を平均19.9%改定。2026年4月には空港連絡バスと高速バス計10路線を値上げしました。さらに報道によれば、2027年に向けたさらなる改定も検討されています。中央バス利用者は、今後も改定情報から目を離せない状況です。
JR北海道バス:2年連続の改定を実施
JR北海道バスは、2024年12月に札幌市内の均一(特殊区間制)路線を、2025年12月に対キロ区間制の26路線を改定しました。2年連続の値上げです。特に2025年12月の対キロ区間改定は27年ぶりで、初乗りが180円から220円に上がりました。なお「JR北海道バス」と鉄道の「JR北海道」は別会社です。鉄道運賃の改定とは別の話なので、混同しないよう注意してください。
じょうてつ・北都交通など:歩調を合わせる形
札幌南部を走るじょうてつも運賃改定を実施しています。空港連絡バスを中央バスと共同運行する北都交通は、2026年4月の空港路線値上げを中央バスと同時に発表しました。札幌市内の均一運賃は5社共通の枠組みで運用されているため、2027年4月の改定も5社そろっての実施が見込まれます。
つまり、札幌圏では「どの会社を選べば値上げを避けられる」という状況にはありません。値上げは業界全体の動きです。
値上げだけではない!減便・路線廃止の実態
運賃の話と切り離せないのが、減便と路線廃止です。利用者にとっては、こちらのほうが生活への打撃が大きい場合すらあります。
象徴的なのが2026年4月の改編です。札幌市内では6路線が廃止され、173本もの減便が実施されました。運賃が上がったのに、バスは減る。利用者から「ダブルパンチ」との声が上がるのも当然です。
しかし、この2つは別々の問題ではありません。根っこは同じ「運転手不足」です。運転手が足りないから便を減らさざるを得ず、運転手を増やすために賃上げが必要で、その原資として運賃を上げる。値上げと減便は、同じコインの裏表なのです。
利用者として重要なのは、自分の使う路線の存続情報を早めに掴むことです。廃止・減便は年度替わりの4月に実施されることが多く、発表はその数ヶ月前に行われます。通勤・通学や通院でバスに依存している方は、秋から冬にかけての各社発表を毎年確認する習慣をつけてください。路線がなくなってから慌てるのでは遅いのです。
札幌圏の外では何が起きているか?
ここまで札幌圏を中心に見てきましたが、道内の他地域にも触れておきます。むしろ地方部のほうが、事態は深刻だからです。
地方の路線バスでは、値上げ以前に「路線を維持できるか」が最大のテーマになっています。人口減少で利用者が減り、運転手も確保できない。運賃を上げても採算に届かない路線は、自治体の補助金で支えられているのが実情です。それでも支えきれない地域では、減便や廃止、あるいは予約制のデマンド交通への転換が進んでいます。
都市間高速バスにも動きはあります。2026年4月には中央バスの高速バス計10路線で100〜200円の値上げが実施されました。札幌と地方都市を結ぶ移動のコストも、静かに上がり続けています。
つまり北海道のバス問題は、「札幌圏=値上げで路線を守る局面」「地方部=存続そのものが問われる局面」という二層構造になっています。値上げのニュースは、その氷山の一角と捉えるべきでしょう。
値上げ分はどこへ行くのか?
「払ったお金は何に使われるのか」。ここが見えないと、値上げへの納得感は生まれません。
各社と札幌市の説明に共通するのは、運転手の処遇改善です。具体的には、賃金の引き上げによる離職防止と、新規採用の強化です。バス運転手は大型二種免許が必要な専門職でありながら、拘束時間の長さに対して待遇が見合わないと長年指摘されてきました。他業種との人材獲得競争に負け続けた結果が、今の運転手不足です。
値上げは、この構造を変えるための原資づくりという位置づけです。もちろん、利用者として「本当に処遇改善に使われているのか」を見る目は持ち続けるべきです。ただ、賃上げなくして運転手は増えず、運転手が増えなければ減便は止まらない。この因果関係だけは、押さえておく必要があります。
「値上げを受け入れるか、バスのない生活を受け入れるか」。極端に聞こえるかもしれませんが、地方部ではすでに現実になっている二択です。札幌圏の値上げは、その二択を回避するための先手だと私は解釈しています。
旅行者・観光への影響
道外や海外から北海道を訪れる方への影響も整理します。
最も直接的なのは、空港連絡バスの値上げです。札幌都心まで片道1,500円、往復なら3,000円弱。家族4人なら往復で1万円を超えます。旅の予算組みでは、この交通費を織り込んでおく必要があります。
一方で、旅行者には値上げの影響を和らげる選択肢もあります。往復券や回数券の活用、宿泊先の位置に応じたJRとの使い分け、訪日観光客向けのフリーパス類です。また、ニセコや知床など鉄道でアクセスしにくい観光地では、値上げ後もバスが実質的に唯一の公共交通であることに変わりはありません。
観光立国・北海道にとって、二次交通(空港や駅から観光地への足)の維持は生命線です。値上げによってバス路線網が守られるなら、それは観光の持続可能性への投資でもある。旅行者の立場でも、そういう視点を持っておくと、値上げのニュースの見え方が少し変わるはずです。
主要な値上げ年表:ひと目でおさらい
ここまでの流れを、時系列でおさらいします。
2024年4月、中央バスが札幌市内均一区間で30円引き上げ。2024年12月、中央バスが一般路線バスを平均19.9%改定(初乗り200円→240円、17年ぶり)、JR北海道バス・じょうてつも均一区間を改定(1区240円・2区270円に)。2025年12月、JR北海道バスが対キロ区間26路線を平均24.5%改定(初乗り180円→220円、27年ぶり)。
2026年4月、中央バス・北都交通が空港連絡バスなど計10路線を値上げ(都心〜空港1,300円→1,500円)、同時期に札幌市内で6路線廃止・173本減便。2026年6月30日、札幌市が2027年4月からの30円値上げ方針を決定(1区270円・2区300円へ)。そして将来的な検討課題として、均一運賃から対キロ制への移行議論が控えています。
こうして並べると、改定の間隔が明らかに短くなっていることが分かります。「17年ぶり」の次は2年後。この加速感こそ、いま利用者が備えるべき理由です。
定期代はいくら上がる?家計インパクトの見積もり方
「結局、うちの家計はいくら影響を受けるのか」。これを見積もる方法をお伝えします。
参考になる実例があります。JR北海道バスの2024年12月改定では、札幌市内1区の通勤定期(1ヶ月)が9,070円から10,370円になりました。月あたり1,300円の負担増です。年間に換算すると約15,600円。決して無視できる額ではありません。
自分の場合の見積もりは、3ステップでできます。
ステップ1:現在の月間バス支出を把握する。定期券利用者は定期代そのもの。都度払いの方は、ICカードの利用履歴を1ヶ月分確認すれば正確に分かります。
ステップ2:改定率を掛ける。均一運賃の30円値上げなら、240円→270円で約12.5%増。現在月8,000円使っている方なら、月1,000円前後の負担増と概算できます。
ステップ3:年間額に換算して家計簿に組み込む。月1,000円なら年12,000円。この数字を見て初めて「対策する価値」が実感できるはずです。
この見積もりができていれば、対策の効果も測れます。たとえば改定前の定期券購入で1〜6ヶ月分を旧運賃で確保できれば、数千円単位の防衛になります。感覚ではなく数字で把握する。家計防衛の第一歩です。
値上げ情報を確実に追う方法
時事性の高いテーマだからこそ、情報の追い方も対策のうちです。
一次情報:各バス会社の公式サイト。運賃改定は必ず公式の「お知らせ」で発表されます。改定日、対象路線、経過措置の詳細まで載る唯一の情報源です。中央バス、JR北海道バス、じょうてつなど、自分が使う会社のお知らせページをブックマークしておきましょう。
行政の発表:札幌市の公式情報。均一運賃の改定や敬老パスなど福祉制度に関わる話は、市の発表・議会の議論が起点になります。
地元報道:北海道新聞やテレビ各局。「方針決定」「要望」「検討」といった、正式発表前の動きをいち早く報じるのは地元メディアです。2027年4月の値上げ方針も、まず報道で明らかになりました。
注意したいのは、ネット上の古い記事です。バス運賃の記事は改定のたびに情報が古くなります。検索で見つけた記事は、必ず「いつ時点の情報か」を確認してください。本記事も2026年7月時点の情報であることを、あらためて明記しておきます。
家計への影響を抑える5つの対策
事実を嘆いても運賃は下がりません。ここからは、利用者ができる現実的な防衛策を5つ紹介します。
対策1:改定前に定期券・回数券を買う
最も効果が大きく、確実な対策がこれです。過去の改定では、改定日より前に購入した定期券・回数券は、値上げ後も差額の支払いなしでそのまま使えるという経過措置が取られてきました。
2024年12月の改定でも、2026年4月の空港連絡バス改定でも、このルールは適用されています。つまり、次の値上げ(2027年4月見込み)の直前に定期券を更新し、回数券をまとめ買いしておけば、旧運賃のまま一定期間乗り続けられる可能性が高いのです。
ただし注意点があります。経過措置の内容は改定ごとに発表されるため、必ず事前に各社の公式発表を確認してください。また、回数券の買いすぎは、路線廃止や制度変更のリスクとも隣り合わせです。自分が数ヶ月で使い切れる量にとどめるのが賢明です。
対策2:地下鉄乗継割引をフル活用する
札幌市内では、ICカードで同一カードのままバスと地下鉄を乗り継ぐと、乗継割引が自動適用されます。バス単体の運賃が上がった今、この割引の相対的な価値は増しています。
重要なのは「1人1枚」の原則です。1枚のICカードで複数人分を支払うと割引が適用されません。家族での移動時は、子どもの分も含めて1人1枚ずつカードを持ちましょう。
対策3:SAPICAのポイントを取りこぼさない
札幌圏の交通系ICカード「SAPICA」は、利用額に応じてポイントが貯まり、運賃に自動充当されます。実質的な割引です。SuicaやKitacaでも乗車はできますが、ポイント面ではSAPICAに分があります。札幌でバスを日常利用する方は、メインカードをSAPICAにすることを検討してください。
対策4:空港アクセスは総額で比較し直す
空港連絡バスが1,500円になったことで、JR快速エアポートとの価格差は縮まりました。従来「バスのほうが安いから」と選んでいた方は、判断基準の見直しどきです。
とはいえ、比較すべきは運賃だけではありません。バスにはホテル前直行という強みがあり、札幌駅からホテルまでのタクシー代や移動の負担を考えると、総額ではバスが有利なケースも残ります。「自分の宿泊先ならどちらが総額で得か」を一度計算してみてください。頻繁に往復する方は、値上げ後も割安な回数券の活用が引き続き有効です。
対策5:移動そのものを設計し直す
少し視点を広げた対策です。値上げと減便が同時に進む今は、移動パターン全体を見直す好機でもあります。
たとえば、週5日出社から一部在宅勤務に切り替えられないか。買い物の回数を減らしてまとめ買いにできないか。天気の良い季節は自転車や徒歩を組み合わせられないか。バス代の値上げ分は、移動回数そのものを減らすことで吸収できる場合があります。固定費と考えていた交通費を、変動費として設計し直す発想です。
それでもバスは高いのか?他の手段・他都市との比較
値上げのニュースだけを見ると「バスは高くなった」という印象が先行します。冷静に比較してみましょう。
札幌市内:地下鉄・タクシーとの比較
値上げ後の見込み額である1区270円・2区300円は、確かに以前より高い水準です。ただし、地下鉄の初乗り運賃と大きく変わらない水準であり、乗継割引を使えばバス+地下鉄の総額は依然として抑えられます。タクシーの初乗りと比べれば、バスの割安さは今も歴然です。
「バスが高くなった」というより、「公共交通全体のコストが上がる時代に入った」と捉えるほうが実態に近いと私は考えています。
空港アクセス:JRとの比較
札幌〜新千歳空港間で見ると、バス1,500円に対し、JR快速エアポートの自由席はやや安い水準です。速さもJRが上。純粋な価格と速度の勝負ならJRに軍配が上がります。
一方で、バスの価値は「ドアツードアに近い移動」にあります。大きな荷物、子連れ、駅から遠いホテル。こうした条件下では、値上げ後もバスを選ぶ合理性は十分にあります。値上げによって「なんとなくバス」が減り、「目的に合わせて選ぶ」時代になったと言えるでしょう。
全国との比較:北海道だけの現象ではない
見落とされがちな事実ですが、バス運賃の値上げは全国で起きています。運転手不足も2024年問題も、北海道固有の問題ではないからです。首都圏や関西圏でも運賃改定が相次いでおり、地方では減便どころか路線バス事業そのものからの撤退も出ています。
その意味で、北海道の状況は「全国的な構造変化の一部」です。むしろ、値上げによって運転手の処遇を改善し、路線網を維持しようとする動きは、バスが走り続けるための投資という見方もできます。
利用者はどう動くべきか?今後の見通しと行動指針
最後に、今後の見通しを整理し、立場別の見直し方法を示します。
今後の見通しは?対キロ制への移行議論に注目
次の節目は2027年4月の札幌市内30円値上げです。そしてその先に控えるのが、50年以上続いてきた均一運賃制度の見直し、つまり「対キロ制」への移行検討です。
対キロ制とは、乗車距離に応じて運賃が変わる仕組みです。導入されれば、短距離利用者は負担が軽くなる可能性がある一方、長距離利用者は負担増となる可能性があります。郊外から都心へバス通勤している方にとっては、家計への影響が均一運賃の30円値上げどころではなくなるかもしれません。まだ検討段階ですが、報道の続報を追う価値のあるテーマです。
立場別の見直し
毎日の通勤・通学でバスを使う人:影響が最も大きい層です。次の改定前の定期券更新タイミングを最適化し、乗継割引とポイントを漏らさず取る。対キロ制の議論は、自分の乗車距離と照らして注視してください。
ときどきバスを使う人:回数券やICポイントの恩恵は限定的です。それよりも、移動のたびに「バス・地下鉄・自転車・徒歩」を柔軟に使い分ける習慣が効きます。
旅行・出張で北海道に来る人:空港連絡バスの値上げを織り込んで交通費を見積もりましょう。宿泊先の場所次第で、JRとバスの最適解は変わります。往復や複数回の移動が確定しているなら、回数券の検討を。
沿線に住んでいて路線の存続が心配な人:値上げの受け入れは、路線維持への投資という側面があります。同時に、「乗って残す」という行動も路線の存続には重要です。廃止・減便の情報は市や事業者の発表で早めに把握し、生活設計に反映させてください。
よくある質問
Q1. 北海道のバスはいつ、どれくらい値上げされましたか?
主な改定は3段階です。2024年12月に北海道中央バスが一般路線バスを平均19.9%値上げ(初乗り200円→240円)。2025年12月にJR北海道バスが対キロ区間26路線で平均24.5%値上げ。2026年4月に空港連絡バスなどが100〜200円値上げされました。
Q2. 札幌〜新千歳空港のバスはいくらになりましたか?
2026年4月1日から、札幌都心発着などの主要路線は片道1,500円です(改定前1,300円)。往復運賃は400円、回数券はスマホ版400円・紙券700円の値上げとなりました。
Q3. 2027年にも値上げがあるのですか?
その方針です。札幌市は2026年6月30日、市内路線バスの均一運賃を2027年4月に30円引き上げる方針を決めたと報じられています。1区240円→270円、2区270円→300円となる見込みです。ただし執筆時点では方針段階のため、正式決定は今後の発表をご確認ください。
Q4. なぜ値上げが続くのですか?
最大の理由はバス運転手の不足です。運転手確保のための賃上げ原資を運賃に求めています。加えて、2024年問題(時間外労働の上限規制)による人員需要の増加、燃料費や車両費の上昇も背景にあります。
Q5. 値上げ前に買った定期券や回数券はどうなりますか?
過去の改定では、改定日前に購入した定期券・回数券は差額の支払いなしでそのまま使える経過措置が取られてきました。ただし取り扱いは改定ごとに発表されるため、必ず各バス会社の公式発表を確認してください。
Q6. 値上げされてもバスは他の手段より安いですか?
市内移動ではタクシーより大幅に安く、地下鉄とも同水準です。乗継割引を使えば総額はさらに抑えられます。空港アクセスではJRとの価格差が縮まったため、荷物や宿泊先の場所を含めた総合判断をおすすめします。
Q7. 均一運賃がなくなるって本当ですか?
将来的な検討課題として報じられています。札幌市内で50年以上続く均一運賃を、乗車距離に応じた対キロ制へ移行する案です。実現すれば長距離利用者の負担が増える可能性がありますが、執筆時点では検討段階です。続報に注目してください。
【まとめ】値上げを「知って備える」人が家計を守る
最後にこの記事の要点を振り返ります。
北海道のバス運賃は、2024年12月の大幅改定を皮切りに、2026年4月の空港連絡バス値上げ、そして2027年4月に見込まれる札幌市内の再値上げへと、段階的な上昇が続いています。原因は運転手不足という構造問題であり、この流れは当面続くと見るべきです。
利用者にできる備えは明確です。改定前の定期券・回数券の購入、乗継割引とポイントの徹底活用、そして移動手段の柔軟な使い分け。特に「改定前購入の経過措置」は、知っているかどうかで数千円単位の差が生まれます。
値上げは誰にとっても歓迎できるニュースではありません。しかし、その先にあるのは「運転手が確保され、バスが走り続ける未来」か、「路線が消えていく未来」かの分かれ道でもあります。正しく知り、賢く備え、必要な路線には乗って支える。それが、この変化の時代にバスと付き合う現実的な答えだと私は考えています。
※本記事の内容は2026年7月執筆時点の情報です。2027年4月の改定は方針段階であり、金額・時期は変わる可能性があります。最新情報は各バス事業者および札幌市の公式発表でご確認ください。
