この記事の要約
2026/27シーズンのJリーグ開幕(8月)を前に、北海道が日本のサッカー地図を塗り替えようとしています。Jリーグの秋春制移行により夏がオフシーズンとなったことで、冷涼な気候を持つ北海道への注目が急上昇。2026年夏のプレシーズンキャンプでは、J1・J2・WEリーグを合わせた全16チームが道内11自治体でキャンプを実施。
名古屋グランパス(苫小牧)、柏レイソル(網走)、ヴィッセル神戸(札幌・白旗山競技場)、FC東京(白老)、セレッソ大阪(東川)、RB大宮アルディージャと ヴァンラーレ八戸(函館)など、全国区のクラブが一斉に北上しました。
経済効果は20億円以上と試算されており、北海道の地域活性化への貢献も計り知れません。この記事では、なぜ北海道なのか(Know)、各チームの開催地・日程の最新情報、観戦・応援の楽しみ方、他のキャンプ地との違い、来シーズン以降の展望と訪問判断を、順を追って解説します。
【結論】2026年夏、北海道はJリーグで日本一熱い「冷涼な土地」になった
ひと言で言い切ります。Jリーグの秋春制移行が、北海道を「日本のサッカーキャンプの新たな聖地」に変えました。
かつての夏キャンプといえば、沖縄や宮崎が定番でした。しかしJリーグが2026年から秋春制(8月開幕)に移行したことで、夏のオフシーズンはかつての1月〜2月から6月〜7月へと変わりました。本州が梅雨と酷暑に包まれるこの時期に、冷涼な気候を保つ北海道への注目が一気に高まったのは、必然の流れです。
この変化を受け、北海道では官民一体で受け入れ体制が整備されました。北海道庁がキャンプ受入市町村の一覧を公表し、札幌の民間企業「まちのミライ」は「Hokkaido Soccer Camp Connection(HSCC)」というプラットフォームを2025年4月に立ち上げ、自治体・企業・スポーツ団体の連携を加速させました。その結果、2026年夏のプレシーズンキャンプには全16チームが11自治体に集結し、経済効果は20億円以上と試算されています。
私はこの状況を「北海道とJリーグが、互いの課題を解決し合う関係になった瞬間」だと捉えています。Jリーグ側は質の高い練習環境と涼しい気候を求め、北海道側は交流人口の増加と地域活性化を求めた。その利害が一致した結果が、この夏の熱狂です。
なぜ北海道なのか?秋春制移行とキャンプ地選定の仕組み
話を理解するには、Jリーグの制度変更から押さえる必要があります。
秋春制移行とは何か
Jリーグはこれまで、春に開幕して秋に閉幕する「春秋制」を採用してきました。しかし2026年から「秋春制」に移行し、シーズン開幕が8月になりました。これに伴い、開幕前のプレシーズンキャンプが実施される時期は、かつての1〜2月(冬)から6〜7月(初夏)へとシフトしました。
問題は、6月〜7月の本州は梅雨と猛暑が重なり、過酷なコンディションの中でのトレーニングを強いられるということです。選手の体力管理と練習の質を両立させるために、クラブ側は「涼しい場所でのキャンプ」を模索するようになりました。当サイトの北海道の最高気温の記事でも触れているように、北海道内陸部では近年の猛暑も課題になりつつありますが、本州の夏の酷暑と比べれば、道内のほとんどの地域は依然として走りやすい気候を保っています。
北海道が選ばれた理由:3つの強み
強み1:涼しい気候。Jリーグの担当者も「事前合宿の時期が6月から7月にかけての暑い時期に変わることから、本州に比べて冷涼な本道での実施が期待されている」と説明しています。FC東京の社長も白老町でのキャンプ決定の際、「白老町は涼しく安定した気候と雄大な自然の中で集中してトレーニングキャンプが実施できる」とコメントしています。
強み2:質の高い施設。網走市の「網走スポーツ・トレーニングフィールド」は、Jリーグの練習に耐えられる質の高い芝のグラウンドを3面保有しています。社会人ラグビーの夏合宿が盛んだった道内の各市町では、すでに高品質のグラウンドが整備されており、Jリーグの要求水準を満たせる施設が点在していた点も大きな追い風になりました。
強み3:総合的なホスピタリティ。網走市は「徒歩圏にホテルがあり、選手に3食を提供できる」という環境を売りにしており、東川町は「トレーニング施設が充実し、温浴・宿泊施設がそろっていた」ことが評価されました。選手が快適に過ごせる環境が、クラブ側の決断を後押しした形です。
「Hokkaido Soccer Camp Connection(HSCC)」という新プラットフォーム
2025年4月、札幌の民間企業「まちのミライ」が立ち上げたHSCCは、この誘致活動の司令塔的な存在です。自治体、企業、スポーツ団体が連携し、北海道を「夏のサッカーキャンプの拠点」として確立することを目的としています。道内26市町が名乗りを上げており、個別の交渉から施設情報の一元化まで、組織的な誘致体制が整えられています。
2026年夏キャンプ:チーム別・地域別の最新情報
いよいよ、各チームの具体的なキャンプ情報を整理します。
苫小牧市:名古屋グランパス(J1)
会場:TOMASEIフットボールフィールド
日程:7月4日〜26日
道外クラブとして最も早くキャンプを開始したのが、J1の名古屋グランパスです。2026年7月4日、苫小牧市のTOMASEIフットボールフィールドで多くのファンの前で汗を流したと報じられました。かつて北海道コンサドーレ札幌を指揮したミハイロ・ペトロビッチ監督や、縁のある選手・コーチの顔も見られ、北海道のファンにとっても特別な意味を持つキャンプとなりました。
苫小牧市は積極的に選手への北海道グルメのおもてなしも行っており、名古屋グランパスへは北海道和牛が贈呈されたとの報告もあります。地域全体でクラブを歓迎するホスピタリティが、道内各地で展開されています。
網走市:柏レイソル(J1)
会場:網走スポーツ・トレーニングフィールド
日程:7月上旬〜(詳細は公式サイト参照)
オホーツク海沿岸に位置する網走市には、J1の柏レイソルが入りました。網走湖のほとりにある網走スポーツ・トレーニングフィールドは、Jリーグの練習水準に対応できる質の高い芝のグラウンドを3面保有しており、施設の充実度が選定の決め手となりました。
社会人ラグビーの合宿が盛んだった歴史を持つ網走市は、グラウンドの空きとホテルの近接性という条件が揃っていたことも評価されています。隣接する北見市も誘致に積極的で、柏との練習試合が組める可能性があることをセールスポイントとして展開していたと報じられており、道東エリア全体でのサッカー熱の高まりが感じられます。
札幌市:ヴィッセル神戸(J1)
会場:白旗山競技場(清田区)
日程:7月12日〜25日
J1のヴィッセル神戸は、「楽天モバイル最強キャンプ2026」として札幌市での夏季トレーニングキャンプを実施。会場となった白旗山競技場は、本格的な競技環境が整った施設です。昨シーズンJ1を制した強豪クラブが北海道で汗を流す姿は、道内のサッカーファンにとって大きな刺激となっています。
白老町:FC東京(J1)
会場:桜ヶ丘陸上競技場(白老桜ヶ丘公園内)
日程:2026年夏(詳細は公式サイト参照)
J1のFC東京が選んだのは、ウポポイ(民族共生象徴空間)でも知られる白老町です。白老町は誘致のためにサッカーコートの整備を前提として活動を展開し、スポーツ都市宣言から50年という節目の年にFC東京を迎え入れることになりました。大塩英男白老町長は「子どもたちをはじめ町民の皆様に夢や希望を提供できることにもつながる」とコメントしています。
FC東京側も「白老町は涼しく安定した気候と雄大な自然の中で集中してトレーニングキャンプができる」と期待を寄せており、選手と地域の交流が注目されるキャンプです。
東川町:セレッソ大阪(J1)
会場:東川町のトレーニング施設
日程:2026年夏(詳細は公式サイト参照)
道内でいち早く誘致が決まったのが、旭川空港に近い東川町へのセレッソ大阪のキャンプです。町営のトレーニング施設の充実度と、温浴・宿泊施設がそろっている環境、そして旭川空港へのアクセスの良さが高く評価されました。Jリーグシーズン移行に伴う「初の夏季トレーニングキャンプ地が北海道東川町に決定」と自クラブが発表するほど、セレッソ大阪も北海道への期待を前面に打ち出しています。
函館市:RB大宮アルディージャ(J2)、ヴァンラーレ八戸(J3)
会場:うみしんフットボールパーク(函館市日吉町4丁目)
函館市には2つのクラブが集まりました。J2「RB大宮アルディージャ」は7月20日〜25日に天然芝Bコートで、J3「ヴァンラーレ八戸FC」は7月14日〜16日に人工芝Cコートで練習を実施しました。道南最大の施設であるうみしんフットボールパークが、複数チームの同時受け入れを可能にしました。
函館は観光資源も豊富で、函館山の夜景・朝市・五稜郭といった名所が揃います。キャンプ観戦と函館観光をセットにする旅程は、家族連れや観光目的のサポーターにも最適な組み合わせです。
七飯町:川崎フロンターレ(J1)
会場:東大沼多目的グラウンド「トルナーレ」
J1川崎フロンターレが選んだのは、函館・大沼のほとりに位置する七飯町です。東大沼多目的グラウンド「トルナーレ」はサッカーコート2面の広さを誇り、2000年のシドニーオリンピック日本代表チームが直前合宿を行った歴史的な施設です。川崎フロンターレも2018年以来の夏キャンプとして、この地を再び選びました。函館方面とあわせて道南エリアには全部で4チームが集まり、近隣のチームとの練習試合も組みやすい環境が整っています。
16チーム・11自治体:北海道キャンプの全体像
ここまで個別に紹介してきたチームをまとめると、2026年夏の北海道キャンプの全体規模が見えてきます。
株式会社まちのミライによると、J1・J2・WEリーグを合わせた全16チームが道内11自治体においてキャンプを実施する予定となりました。STVニュース北海道の報道では、コンサドーレを含む12チームが9市町でキャンプを行うという数字も示されており、WEリーグの参加も含めた合計が16チームという位置づけになっています。
参加チームが集中しているのが道南エリアです。函館・七飯を中心に4チームが集まり、近隣でのチーム同士の練習試合も組みやすい環境が生まれています。この「多チームが近接してキャンプを行う」という状況は、サポーターが複数チームの練習を効率よく観戦できるという副産物ももたらしています。
なお、北海道コンサドーレ札幌自身も2026/27シーズンに向けたトレーニングを7月1日からスタートさせており、道内のサッカー熱がより一層高まっています。コンサドーレが所属するJ2リーグは2026年8月開幕に向けた準備を着実に進めており、主催者・迎え入れる側としての北海道の役割もあります。
経済効果20億円以上:地域にとってのインパクト
キャンプがもたらす経済効果は、単純な観光消費以上のものがあります。STVニュースによれば、今回のキャンプが生み出す経済効果は20億円以上と試算されています。この数字の背景を整理します。
宿泊・飲食消費:選手・スタッフ・コーチングスタッフを含めた大人数が複数週間滞在することで、地域の宿泊施設や飲食店に直接的な需要が生まれます。特に宿泊施設が少ない地方部では、キャンプ期間中の稼働率が大きく上昇します。
サポーターの来訪:全国各地のサポーターが、好きなチームの練習を見るために北海道を訪れます。これがそのまま観光消費につながります。「キャンプ観戦旅行」という新しい旅のスタイルが、道内各地で生まれているのです。
交流イベントの経済波及:名古屋グランパスへの北海道和牛贈呈のような農産物のPR、地元学生とのサッカー教室、各地でのトークイベントなど、キャンプに付随する交流活動が、地域の知名度向上や関係人口の拡大にも貢献しています。
施設整備による長期投資効果:FC東京のキャンプ誘致を機に白老町が桜ヶ丘公園陸上競技場のサッカーコートを整備したように、キャンプ誘致が施設投資のきっかけになっています。一度整備された施設は、翌年以降のキャンプ誘致にも使えるため、長期的な資産となります。
キャンプ観戦・応援を最大限楽しむための実践ガイド
「好きなチームのキャンプを北海道で見てみたい」。そんな方のために、観戦をより楽しむための実践的な情報をまとめます。
練習見学の基本:公開・非公開を事前確認する
最初にして最重要のポイントです。Jリーグのプレシーズンキャンプでは、練習の全体を一般公開する日と、非公開にする日が混在します。日程と公開情報は各クラブの公式サイトで随時発表されるため、出発前に必ず確認してください。公開練習の日であっても、時間帯や見学エリアが指定されている場合があります。
せっかく現地まで行ったのに非公開だった、という事態を避けるためにも、クラブ公式サイトとSNS(X/Instagramなど)を事前にフォローし、最新情報をリアルタイムで追う習慣をつけましょう。
道内各地の観戦拠点へのアクセス
それぞれのキャンプ地へのアクセス方法も押さえておきましょう。
苫小牧へは、札幌から車で約1時間、JR特急でも1時間程度とアクセスが便利です。網走へは女満別空港から車で30〜40分、JR石北本線でも達します。白老町は苫小牧から車で30分前後、JR白老駅からも近い立地です。東川町は旭川空港から車で約10分という好アクセスが強みです。函館・七飯エリアは函館空港や新幹線(新函館北斗駅)が玄関口です。
道内複数のキャンプ地を巡る「はしご観戦」を計画する場合、レンタカーがあると自由度が高くなります。公共交通機関だけでは移動に時間がかかる地域もあるため、事前にルートをシミュレーションしておくことをおすすめします。
HOKKAIDO SOCCER CAMP 2026 トークイベントを活用する
2026年7月5日には、「HOKKAIDO SOCCER CAMP 2026」のトークイベントが開催されました。北海道コンサドーレ札幌の河合竜二GMが登壇し、キャンプの魅力を発信する内容となっています。このようなイベントは、単に練習を見るだけでなく、サッカー界の内側の話を聞ける貴重な機会です。次回以降も同様のイベントが企画される可能性があるため、まちのミライやHSCCの公式情報をチェックしておきましょう。
キャンプ観戦を旅のプランに組み込む
キャンプ観戦は、1〜2時間でも十分な満足感が得られる体験です。見学後は各開催地の観光を楽しみましょう。
苫小牧では勇払原野の自然や、近隣のウトナイ湖野生鳥獣保護区が人気です。網走ではオホーツク海の絶景と海鮮グルメ、流氷館などの観光スポットが揃います(当サイトのオホーツク網走マラソンの記事も参考にしてください)。白老はウポポイでアイヌ文化を体験できる貴重な場所です。東川は「写真の町」として知られ、大雪山・旭岳への玄関口でもあります。函館・七飯は言わずと知れた観光の宝庫です(当サイトの函館マラソンの記事でも紹介しています)。
「キャンプ観戦を軸に北海道旅行を計画する」というスタイルは、これまでにない旅の楽しみ方として、今後定着していくことが予想されます。
沖縄・宮崎などの従来キャンプ地との違い
「わざわざ北海道まで行かなくても、沖縄や宮崎と何が違うのか」。この疑問に答えます。
気候の決定的な違い
沖縄・宮崎での冬季キャンプ(旧制の1〜2月)は、本州が雪や極寒に包まれる時期の「暖かい避難先」でした。一方、北海道での夏季キャンプは、本州が猛暑や梅雨に包まれる6〜7月の「涼しい避難先」という位置づけです。キャンプの目的は同じ「練習に集中できる環境」ですが、解決する課題が正反対になっています。
当サイトの北海道の最高気温の記事で紹介したように、北海道も近年は内陸部を中心に高温傾向が見られます。しかし本州の35℃超えの猛暑日と比べれば、6〜7月の道内は依然として走りやすいコンディションです。名古屋グランパスのペトロビッチ監督も、苫小牧でのキャンプを快適なトレーニング環境として評価している様子が伝わっています。
施設水準の違い
沖縄・宮崎のキャンプ地は、長年の実績の中で専用のキャンプ施設が整備されてきたという強みがあります。一方の北海道は、ラグビーや社会人スポーツの合宿実績を持つ既存施設を活用しながら、今まさに「プロサッカーキャンプに特化した環境整備」を進めているフェーズにあります。
つまり現状は「既存施設の活用」が主体であり、将来に向けての投資が加速しているという段階です。白老町が桜ヶ丘陸上競技場を整備したように、各地でプロチームの要求水準に合わせた施設改修が進んでいます。数年後には、北海道も沖縄・宮崎に並ぶ「実績あるキャンプ地」になる可能性が十分にあります。
観光・経済効果の面での違い
沖縄・宮崎キャンプが盛んになって以来、サポーターが現地を訪れる「キャンプツアー」という文化が根付きました。北海道でも同様の文化が始まりつつありますが、観光資源の種類が異なります。北海道には海鮮グルメ、大自然、温泉、スキー場(夏はゴルフやアウトドア)といった独自の魅力があり、サポーターが「キャンプ観戦+北海道観光」という欲張りなプランを組みやすい土地柄です。
いつ北海道キャンプを訪れるべきか
最後に、この情報を踏まえた判断材料を整理します。
今シーズン(2026年夏)の観戦を検討しているサポーターへ
応援するチームの北海道キャンプが決定している場合、今すぐ公式サイトで公開練習の日程を確認してください。夏のプレシーズンキャンプは期間が2〜3週間と比較的長く、スケジュールに合わせやすい点が魅力です。ただし、宿泊施設は早期に満室になる場合があります。特に網走や白老などの小規模な自治体は、エントリーできるホテルの数が少ないため、確認後すぐに予約することをおすすめします。
来シーズン(2027/28シーズン)以降を見据えている方へ
北海道のJリーグキャンプはまだ始まったばかりで、今後も規模が拡大していく見込みです。2026年の実績が高く評価されれば、2027年以降は参加チームがさらに増える可能性があります。HSCCや北海道庁のスポーツ振興課の発表を継続的にフォローし、来シーズンの情報をいち早く掴むことをおすすめします。
サッカーに詳しくない北海道在住の方へ
好きなスポーツでなくても、プロのアスリートが全力でトレーニングする姿を間近に見る体験は、何か特別なものを残してくれます。公開練習の見学は入場無料の場合も多く(各施設・期間で異なるため要確認)、子どもの自由研究や家族の思い出づくりにも格好の機会です。地元の応援が選手の力になることは、交流イベントへの参加者からも伝わってきます。「観光地でも何でもないグラウンドで、一流の選手が練習している」という、非日常の体験を自分の街の近くで味わえるのは、今この瞬間だけかもしれません。
キャンプ地を支える地元の力:市民・企業の動き
大会の主役は選手たちですが、北海道のキャンプを特別なものにしているのは、地域の人々の関わり方です。
名古屋グランパスのキャンプでは、北海道和牛の贈呈という形で地元のホスピタリティが表れました。これは単なる歓迎セレモニーにとどまらず、北海道のブランド食材をPRするという観光・農業振興の意味合いも持っています。選手が実際に北海道和牛を食べ、SNSで発信することで、全国のサポーターへの情報拡散が起きる。この連鎖的な効果を、各自治体が意識的に設計しています。
サッカー教室や交流イベントの開催も、各地で予定されています。プロのコーチや選手が直接指導してくれるサッカー教室は、地元の子どもたちにとって一生の思い出になる体験です。「憧れの選手が自分の町に来た」という体験は、サッカーへの関心を高めるだけでなく、その土地への愛着や誇りにもつながります。
道内のサッカーファンコミュニティにとっては、北海道コンサドーレ札幌の河合竜二GMがトークイベントに登壇するなど、道内のサッカー界全体がひとつの盛り上がりを共有している点も注目に値します。地元クラブが「ホスト役」として、他クラブのキャンプを歓迎し、道内サッカー文化の底上げに貢献しようとしている姿勢が、各種情報から見て取れます。
北海道のキャンプが抱える課題:次のステップへ
この記事は北海道キャンプの魅力を伝えることを目的としていますが、現状の課題についても正直に触れておきます。
北海道新聞の報道では、「涼しいけれどJリーグのレベルに届かない」として、芝の品質やアクセスが課題であるという声も紹介されています。道内26市町が名乗りを上げているものの、すべての施設がプロの練習水準を満たしているわけではありません。「高品質な芝のグラウンドを複数面保有し、空港に近く、宿泊施設も充実している」という条件を揃えた場所は、まだ道内でも限られています。
また、道内の広大な面積ゆえ、複数のキャンプ地を効率よく結ぶ公共交通機関の整備も課題のひとつです。サポーターが「はしご観戦」したいと思っても、例えば網走から七飯まで移動するとなると、かなりの時間と費用がかかります。
これらの課題は、北海道のキャンプが「1年目の成功」にとどまらず、「継続的な文化」として根付くために、これから解決していくべきものです。施設整備への投資、アクセス環境の整備、そして受け入れノウハウの蓄積。これらが積み重なることで、北海道は沖縄・宮崎に続く「第3のキャンプ地」として確立されていくでしょう。
観戦旅行のモデルプラン:エリア別3パターン
具体的なイメージが湧くよう、観戦旅行のモデルプランを3つ紹介します。
プラン1:道南集中プラン(函館・七飯)
1日目は函館空港または新幹線(新函館北斗駅)で函館入り。五稜郭や函館山の観光を楽しみながら、翌日のキャンプ観戦に備えます。2日目はうみしんフットボールパーク(函館)または東大沼多目的グラウンド「トルナーレ」(七飯)で公開練習を観戦。その後は大沼湖畔のドライブや、函館朝市での海鮮丼でゴール後の選手さながらのご褒美タイムを。道南エリアには4チームが集まっているため、期間と日程が合えば複数チームの練習を見ることも可能です。
プラン2:道東縦断プラン(網走中心)
旅行好きのサポーターには、オホーツクルートがおすすめです。1日目、女満別空港から網走へ。翌日は網走スポーツ・トレーニングフィールドで柏レイソルの公開練習を観戦後、網走監獄・オホーツク流氷館を観光(当サイトのオホーツク網走マラソンの記事も参考に)。夕食はオホーツクの海鮮を堪能し、宿泊は網走市内または北見市へ。時間があれば知床方面への足のばしも。
プラン3:道央・道北周遊プラン(白老・東川・苫小牧)
3エリアをつなぐ欲張りプランです。1日目は新千歳空港到着後、白老町へ。FC東京の練習を観戦しながらウポポイでアイヌ文化体験。2日目は苫小牧へ移動し、名古屋グランパスのキャンプを見学。3日目は旭川経由で東川町へ。セレッソ大阪のキャンプ観戦後、旭岳・美瑛方面への観光コースへ。レンタカーがあれば実現しやすいプランで、北海道の多彩な表情を一度に体験できます。
北海道コンサドーレ札幌の現在地
道外クラブの話題が続きましたが、地元クラブである北海道コンサドーレ札幌についても触れておきます。
コンサドーレは2026/27シーズンのJ2リーグに向けて、7月1日からトレーニングをスタートさせています。J2への降格という悔しさを糧に、新シーズンへの準備を着々と進めています。道内各地でJ1・J2・WEリーグのチームがキャンプを行うという状況は、コンサドーレの選手たちにとっても良い刺激になっているはずです。
北海道のサッカーファンにとっては、コンサドーレのJ1復帰と、北海道がJリーグの夏キャンプの聖地として定着すること。この2つが、2026年夏を起点に現実となる未来として、楽しみに待てる材料が揃っています。
よくある質問
Q1. 2026/27シーズンのJリーグキャンプは北海道のどこで行われていますか?
苫小牧市(名古屋グランパス)、網走市(柏レイソル)、札幌市・白旗山競技場(ヴィッセル神戸)、白老町(FC東京)、東川町(セレッソ大阪)、函館市(RB大宮アルディージャ、ヴァンラーレ八戸)、七飯町(川崎フロンターレ)など、J1・J2・WEリーグ合わせて全16チームが道内11自治体でキャンプを実施しています。
Q2. なぜ北海道でJリーグのキャンプが行われるようになったのですか?
Jリーグが2026年から秋春制(8月開幕)に移行したことで、プレシーズンキャンプが6月〜7月の暑い時期に行われるようになったためです。本州が梅雨と猛暑に包まれるこの時期に、冷涼な気候を持つ北海道への注目が一気に高まりました。
Q3. キャンプ観戦(練習見学)は無料でできますか?
施設や期間によって異なります。無料の場合もありますが、全練習が一般公開されるわけではありません。各クラブの公式サイトで公開練習の日程と条件を必ず事前確認してください。
Q4. キャンプの経済効果はどれくらいありますか?
2026年夏の北海道キャンプ全体で、20億円以上の経済効果があると試算されています。選手・スタッフの宿泊・飲食消費に加え、サポーターの来道による観光消費、施設整備への投資効果なども含まれます。
Q5. 北海道がキャンプ地として選ばれた施設の基準は何ですか?
Jリーグの練習に耐えられる質の高い芝のグラウンド(複数面)、徒歩圏または近距離に宿泊施設があること、空港へのアクセスが良いこと、温浴施設や選手の食事環境が整っていること、などが主な選定基準とされています。
Q6. HSCC(Hokkaido Soccer Camp Connection)とはどのような組織ですか?
2025年4月に設立された、北海道におけるプロサッカークラブのキャンプ誘致プラットフォームです。自治体・企業・スポーツ団体が連携し、北海道を「夏のサッカーキャンプの拠点」として確立することを目的としています。運営は札幌市の民間企業「まちのミライ」が担っています。
Q7. 来シーズン以降のキャンプ情報はどこで確認できますか?
HSCCの公式サイト(hokkaido-soccer-camp.com)、北海道庁のスポーツ振興課のページ、各Jリーグクラブの公式サイト、および北海道新聞などの地元メディアが主な情報源です。クラブの公式SNSをフォローしておくと、最新情報をいち早くキャッチできます。
【まとめ】北海道は日本のサッカーキャンプの新たな拠点へ
最後に、この記事の要点を振り返ります。
Jリーグの秋春制移行を契機に、2026年夏、北海道にはJ1・J2・WEリーグを合わせた全16チームが11自治体に集結しました。名古屋グランパス(苫小牧)、柏レイソル(網走)、ヴィッセル神戸(札幌)、FC東京(白老)、セレッソ大阪(東川)、川崎フロンターレ(七飯)、RB大宮アルディージャ・ヴァンラーレ八戸(函館)。全国区の錚々たるクラブたちが、涼しい気候・質の高い施設・温かいホスピタリティを求めて北上しました。
経済効果は20億円以上。地域の宿泊・飲食消費はもちろん、施設整備への長期投資、関係人口の拡大、そして北海道という土地のスポーツブランドとしての価値向上まで、このキャンプが生み出す波及効果は計り知れません。
「キャンプ観戦旅行」という新しい旅のスタイルと、北海道の夏の新しい楽しみ方が、今この瞬間に生まれています。好きなチームが北海道でトレーニングに汗を流す姿を、ぜひ現地で目に焼き付けてください。
※キャンプの日程・公開情報は各クラブの公式発表によって変更される場合があります。観戦前には必ず各クラブの公式サイトで最新情報をご確認ください。
