2025年の国勢調査で、北海道の人口はついに500万人を割り込みました。実に70年ぶりの出来事です。私自身、この一報を目にしたとき、日々の暮らしの中で感じていた「街の空気の変化」が、数字としてはっきり裏付けられたような気持ちになりました。
「体感していた変化」が公式データとして示されると、あらためて考えさせられるものがあります。
この記事では、北海道全体の人口減少の実態から、市町村別に見た減少率・減少数のランキング、そしてその背景にある要因まで、公的データをもとに詳しく解説していきます。実際に道内で暮らしてきた経験も交えながらお伝えします。
北海道全体の人口減少、過去最大に
結論から言うと、2025年の国勢調査では、北海道の人口減少数・減少率がともに過去最大を記録しました。長年「人口減少県」として知られてきた北海道ですが、その勢いは近年さらに加速しています。
減少数が最も大きかったのは旭川市で、2万3,605人減の30万5,701人となりました。次いで函館市が2万586人減の23万498人、釧路市が1万3,751人減の15万1,326人と続いています。道内の主要都市が軒並み大きな減少数を記録している点が、今回の調査の特徴です。
一方で、札幌市をはじめとする一部の市町村は、依然として人口を維持・微増させています。人口の一極集中がさらに強まっている構図が、データからも見て取れます。
市町村別、人口減少率ランキング
直近1年間(2025年1月〜2026年1月)の住民基本台帳ベースで見ると、人口10万〜15万人規模の市の中では、小樽市の減少率が最も高く、マイナス1.94%を記録しました。10万4,380人から10万2,355人へと、1年間で2,000人以上が減少した計算になります。
次いで北見市がマイナス1.70%で、11万46人から10万8,170人へと減少しています。観光地として知られる小樽市でも、人口減少に歯止めがかかっていない実態が浮かび上がります。
| 市町村 | 特徴 | 傾向 |
|---|---|---|
| 小樽市 | 観光都市だが人口減少率は道内トップクラス | 減少率が特に高い |
| 北見市 | 道東の中核都市 | 減少率が高い水準で推移 |
| 旭川市 | 道北の中核都市 | 減少数が道内最大 |
| 函館市 | 観光都市・道南の中心 | 減少数が道内2位 |
| 釧路市 | 道東の中心都市 | 減少数が道内3位 |
この表からもわかるように、人口が多い中核都市ほど、減少「数」自体は大きくなる傾向があります。一方で、減少「率」で見ると、必ずしも大都市が上位に来るわけではなく、中規模の市でも高い減少率を記録しているケースが目立ちます。
なぜ北海道の人口減少が加速しているのか
人口減少の要因は複合的ですが、大きく分けると「自然減(出生数より死亡数が多い)」と「社会減(転出が転入を上回る)」の2つに整理できます。
北海道は、高齢化率が全国平均を上回るペースで進行しており、自然減の影響が年々大きくなっています。出生数の減少に加え、高齢者人口の割合が高いことから、死亡数が出生数を大きく上回る状態が続いています。
社会減については、進学・就職を機に道外へ転出する若年層の流れが、依然として大きな要因です。特に旭川市や釧路市のような地方中核都市では、地元での雇用機会の少なさが、若年層の道外流出につながっていると指摘されています。
人口が増加・維持している自治体の特徴
一方で、すべての市町村が人口減少に見舞われているわけではありません。過去の調査では、札幌市を含む道内12市町村が人口増加を記録したこともありました。こうした自治体には、いくつかの共通点があります。
ひとつは、大都市圏への通勤・通学が可能な近郊エリアであることです。札幌近郊のベッドタウンとして発展してきた市町村は、都市部からの人口流入を受け止める役割を果たしています。
もうひとつは、大規模な産業投資が進んでいるエリアです。千歳市周辺のように、半導体関連の企業進出が雇用を生み出し、人口の社会増につながっているケースもあります。産業構造の変化が、人口動態に直接的な影響を与えていることがわかります。
人口減少が暮らしに与える影響
人口減少は、単なる数字の変化にとどまらず、地域の暮らしにさまざまな影響を及ぼします。公共交通機関の路線縮小や、医療機関の統廃合、商業施設の撤退など、生活インフラの維持が難しくなる地域が増えてきています。
私自身、道内を訪れるたびに、かつて賑わっていた商店街のシャッターが増えていく光景を目にすることがあります。人口減少は、地域経済や暮らしの利便性に、じわじわと影響を及ぼしていく問題だと実感しています。
一方で、人口減少が進む地域だからこそ、空き家や土地を活用した移住支援策を積極的に打ち出している自治体も増えています。人口減少という課題に対して、地域ごとにさまざまな工夫が生まれている点にも注目したいところです。
過去の推移から見る北海道の人口動態
北海道の人口は、1997年前後の約570万人をピークに、以降一貫して減少を続けてきました。当初は緩やかな減少でしたが、2010年代以降、そのペースは徐々に加速しています。2020年の国勢調査時点で約522万人だった人口は、2025年の調査でついに500万人を下回りました。
わずか5年間で20万人以上が減少した計算になり、これは中規模都市がひとつ丸ごと消えてしまうのに匹敵する規模です。この減少ペースが続けば、今後数十年でさらに大きな人口減少が見込まれており、道内の各自治体は対応を迫られています。
他の道府県と比較しても、北海道の人口減少数は全国トップクラスの規模です。広大な面積を抱えるがゆえに、人口減少の影響が地域ごとに偏って現れやすいという特徴も、北海道ならではの事情だと言えます。
全国的に見た北海道の位置づけ
全国の道府県別人口減少数ランキングにおいても、北海道は例年上位に位置しています。人口規模が大きい分、減少数そのものも大きくなりやすい構造がありますが、減少率で見ても全国平均を上回るペースで推移しているのが実情です。
特に、東京圏への一極集中が続く中で、地方圏からの人口流出は北海道に限った現象ではありません。しかし、広大な土地に人口が分散して暮らす北海道の地域構造は、人口減少の影響をより深刻な形で受けやすいという指摘もあります。
道内主要都市の人口規模比較
参考として、道内主要都市の人口規模を比較してみましょう。札幌市は依然として200万人近い人口を有し、道内人口の4割近くを占める一極集中の構造が続いています。一方、旭川市・函館市・釧路市といった道内第二グループの都市は、いずれも人口減少が顕著に進んでいます。
| 都市 | 位置づけ | 人口動態の傾向 |
|---|---|---|
| 札幌市 | 道内唯一の政令指定都市 | 横ばい〜微減、一極集中の受け皿 |
| 旭川市 | 道北の中核都市 | 減少数が道内最大級 |
| 函館市 | 道南の中核都市・観光都市 | 減少数が道内上位 |
| 釧路市 | 道東の中核都市 | 減少数が道内上位 |
| 帯広市 | 十勝地方の中心都市 | 比較的緩やかな減少 |
こうして見ると、札幌市とそれ以外の地域との人口動態の差が、年々広がっていることがわかります。北海道の人口減少問題は、「道内における一極集中」という側面も併せ持っているのです。
移住を検討する際に知っておきたいこと
これから北海道への移住を検討している方にとって、人口動態のデータは重要な判断材料のひとつになります。人口が減少しているエリアだからといって、必ずしも暮らしにくいわけではありませんが、生活インフラの維持状況や、将来的な行政サービスの変化については、事前に確認しておくことをおすすめします。
逆に、人口が増加傾向にあるエリアは、産業基盤がしっかりしている分、雇用機会や生活の利便性が期待できる一方、地価や家賃の上昇といった側面もあわせて考慮する必要があります。
自治体が取り組む人口減少対策
人口減少に直面する道内の自治体は、それぞれ独自の対策に取り組んでいます。代表的なものが、移住・定住支援策です。空き家バンク制度の整備や、移住者向けの住宅取得補助、子育て世帯への手厚い支援など、地域外からの人口流入を促す施策が数多く展開されています。
また、企業誘致による雇用創出も、人口減少対策の柱のひとつです。千歳市周辺で見られるような大規模な産業投資は、地域の雇用を生み出すだけでなく、関連産業の集積や、若年層の定住にもつながる効果が期待されています。
教育・医療といった生活インフラの維持も、重要な課題です。人口減少が進む地域ほど、学校の統廃合や医療機関の縮小が起こりやすく、それがさらなる人口流出を招くという悪循環に陥りやすい側面があります。こうした悪循環を断ち切るため、地域おこし協力隊の活用や、遠隔医療の導入など、新しい取り組みも各地で積極的に進められています。
私自身、道内のさまざまな自治体の取り組みを見聞きする中で、限られた予算と人員の中で工夫を凝らしている担当者の方々の姿に、頭が下がる思いをすることが少なくありません。
データを読み解く上での注意点
人口統計を見る際に注意したいのは、「減少率」と「減少数」のどちらを重視するかによって、印象が大きく変わるという点です。人口規模の小さな町村では、わずかな人数の増減でも減少率が大きく振れることがあります。一方、人口規模の大きな都市では、減少率が小さくても、減少数そのものは大きくなりがちです。
また、住民基本台帳ベースの人口と、国勢調査ベースの人口では、集計方法や調査時期が異なるため、単純比較には注意が必要です。より正確な実態を把握したい場合は、複数の統計データを組み合わせて確認することをおすすめします。
エリア別に見る人口動態の違い
北海道は広大な土地を抱えるだけに、道央・道南・道北・道東でも人口動態の傾向は異なります。道央エリアは札幌市への一極集中の恩恵を受けやすく、近郊の一部自治体では人口が維持・増加している一方、道央でも郊外に行くほど減少傾向が強まります。
道南エリアは、函館市を中心に観光産業が盛んな一方、人口減少のペースは道内でも上位に位置します。観光による交流人口の多さと、定住人口の減少という、一見矛盾するような状況が同時に進んでいるのが道南の特徴です。
道北・道東エリアは、農業・漁業・林業といった一次産業を基盤とする自治体が多く、産業構造の変化や後継者不足の影響を受けやすい地域です。広い面積に人口が薄く分散しているため、行政サービスの効率的な提供という点でも、他エリア以上に課題を抱えています。
よくある質問
Q. 北海道の人口はいつから減少していますか?
A. 北海道全体の人口は1990年代後半をピークに減少に転じ、その後は一貫して減少傾向が続いています。近年はそのペースがさらに加速しています。
Q. 人口減少率が高い自治体には共通する特徴がありますか?
A. 主要産業の縮小や、若年層の道外・道内都市部への流出が進んでいる地方都市に、高い減少率が見られる傾向があります。
Q. 人口が増加している自治体はありますか?
A. 札幌近郊のベッドタウンや、大規模な企業進出が進んでいるエリアなど、一部の自治体では人口の維持・増加が見られます。
Q. 人口減少データはどこで確認できますか?
A. 総務省統計局が実施する国勢調査や、北海道庁が公表する住民基本台帳人口のデータで、市町村別の詳細な数値を確認できます。
Q. 人口減少率と減少数、どちらを見るべきですか?
A. 目的によって異なります。地域の変化の勢いを知りたいなら減少率、行政サービスや経済への影響の大きさを知りたいなら減少数を重視するとよいでしょう。両方をあわせて見ることをおすすめします。
Q. 人口減少が続くと、公共交通機関はどうなりますか?
A. 利用者数の減少に伴い、路線バスやローカル鉄道の減便・廃線が進むケースが増えています。移住を検討する際は、将来的な交通インフラの見通しも確認しておくと安心です。
Q. 人口が増加している自治体に共通する特徴は何ですか?
A. 都市部への通勤圏内であること、あるいは大規模な企業誘致に成功していることが、人口増加につながる主な要因として挙げられます。
今後の見通しと私たちにできること
北海道の人口減少は、今後もしばらく続くと見込まれています。将来推計人口のデータを見ても、多くの市町村で人口のさらなる減少が予測されており、この傾向を短期間で反転させることは容易ではありません。
一方で、人口減少そのものを止めることが難しいとしても、減少のペースを緩やかにする取り組みや、人口規模に見合った持続可能な地域運営への転換は、各自治体の工夫次第で十分に可能だと私は考えています。
私たち一人ひとりにできることは限られていますが、地元の産品を積極的に購入したり、地域のイベントに参加したりすることも、間接的に地域経済を支える行動のひとつです。人口減少という大きな課題に向き合いながらも、それぞれの地域が持つ魅力を再発見していくことが、これからの北海道にとって大切な視点になるはずです。
まとめ
2025年の国勢調査で、北海道の人口は70年ぶりに500万人を割り込み、減少数・減少率ともに過去最大を記録しました。この記事では、市町村別の人口減少の実態と、その背景にある要因を紹介しました。
人口減少という課題は、地域の暮らしにさまざまな影響を及ぼしますが、一方で移住支援や産業誘致など、各自治体が独自の対策を進めている側面もあります。北海道での暮らしや移住を考える際は、こうした人口動態のデータも参考にしていただければと思います。
私自身、この数字の変化を目の当たりにするたびに、北海道という土地の未来について考えさせられます。データの向こう側にある、それぞれの地域の暮らしにも目を向けながら、今後も北海道の変化を見つめていきたいと思っています。
統計上の数字は無機質に見えるかもしれませんが、その一つひとつの背景には、進学や就職で地元を離れた若者、あるいは高齢になっても住み慣れた土地で暮らし続ける方々など、それぞれの事情や選択があります。こうした人々の営みの積み重ねが、今の北海道の姿を形作っているのだと感じています。
これから北海道への移住や、地域との関わり方を考えている方には、単なる数字としてではなく、その土地に暮らす人々の暮らしぶりまで含めて理解しようとする姿勢を大切にしていただきたいと思います。
人口減少という言葉だけを聞くと、どうしてもネガティブな印象を持ちがちですが、その先にある地域ごとの工夫や取り組みにまで目を向けると、北海道の新しい可能性も見えてくるはずです。この記事が、そうした視点を持つきっかけになれば嬉しく思います。今後も定期的にデータを追いながら、北海道の変化を伝えていきたいと考えています。
