結論からお伝えします。北海道の平均寿命は、男性が全国35位、女性が全国37位で、全国平均をわずかに下回っています。さらに道内に目を向けると、市町村間で男性5.2年、女性5.8年という、決して小さくはない大きな差があります。この記事では、北海道の健康・人口データを長年にわたり継続的に追いかけている私が、最新の平均寿命ランキングと、その背景にある食生活・医療アクセスの実態、そして長寿を目指すための具体的なヒントまで、実際の見聞きした話も交えながら詳しくお伝えします。
【この記事の要約】北海道の平均寿命は男性80.28歳、女性86.77歳で、全国平均(男性80.77歳、女性87.01歳)をやや下回ります。道内では音更町や中標津町のように80歳を超える長寿の町がある一方、芦別市のように76.8歳にとどまる自治体もあり、地域差は非常に大きいのが実情です。その背景には、塩分の多い食生活や、道内の医療アクセスの偏りといった、複数の要因が存在しています。この記事を最後まで読んでいただければ、北海道の平均寿命の実態と、その理由がしっかりと理解できるはずです。
北海道の平均寿命は、全国平均をやや下回っています
厚生労働省の統計によると、2021年時点で北海道の平均寿命は、男性が80.28歳で全国35位、女性が86.77歳で全国37位です。全国平均は男性80.77歳、女性87.01歳ですから、北海道はどちらも全国平均を下回る水準にあります。
全国トップは、男性が滋賀県の81.78歳、次いでごく僅差の長野県が81.75歳です。女性は岡山県が1位、僅差で滋賀県が2位となっています。一方、全国で最も低いのは青森県で、男性78.67歳、女性は85.93歳です。北海道は、全国最下位クラスというわけではありませんが、決して長寿県とは言えず、中位からやや下位に位置する結果になっています。
私はこのデータを見て、北海道が観光やグルメでは非常に豊かなイメージを持たれている一方、健康寿命という側面では、必ずしも恵まれた土地ではないという意外な事実に、あらためて気づかされました。
道内市町村別に見ると、非常に大きな差があります
北海道全体の数字以上に興味深いのが、道内市町村ごとの差です。男性の平均寿命ランキングでは、1位が音更町の81.7歳、2位が中標津町の80.6歳、3位が札幌市厚別区の80.6歳となっています。一方、最も低いのは芦別市の76.8歳で、その差はおよそ5年にも及びます。
北海道庁の資料によると、道内市区町村別の平均寿命の最高値と最低値の差は、男性で5.2年、女性で5.8年にも及んでいます。同じ北海道の中でも、これほど大きな健康格差が存在しているという事実は、道民の間でもあまり知られていないかもしれません。
なぜ北海道の平均寿命は、全国平均を下回るのか
要因①:塩分の多い食生活
北海道は畜産・酪農が盛んで、肉や乳製品が豊富に手に入る土地です。海産物も豊かで、食の選択肢自体はとても恵まれています。しかしその反面、「これが北海道の伝統食」という決まった食習慣が薄く、健康をあまり意識せずに、好きなものを好きなだけ食べてしまう傾向があると指摘されています。特に、冬の寒さを乗り切るための保存食文化から、塩分摂取量が全国的に見ても多い傾向にあることが、高血圧などの生活習慣病リスクを高める一因とされています。
要因②:死因の構成に見られる地域差
2022年の北海道の主要死因を見ると、悪性新生物(がん)が27.3%と最も多く、心疾患14.2%、脳血管疾患6.7%と続きます。興味深いのは、北海道では「老衰」による死亡割合が、全国と比べて少ない傾向にあるという指摘です。これは、生活習慣病による死亡が相対的に多いことの裏返しとも考えられ、食生活や医療アクセスとの関連が指摘されています。
要因③:医療アクセスの地域格差
北海道は、人口10万人あたりの病院数が10.5施設と、全国平均の6.5施設を大きく上回っています。数の上では医療機関に恵まれているように見えますが、人口10万人あたりの医師数は全国平均を下回っており、地域による偏在が大きいのが実情です。広大な面積を持つ北海道では、都市部に医療資源が集中し、郡部や離島では救急医療体制が十分に整っていないケースもあり、これが地域ごとの平均寿命の差につながっていると考えられます。
長寿な地域に共通する特徴
ランキング上位に入る音更町や中標津町といった十勝・根釧エリアの町には、いくつかの興味深い共通点があります。これらの地域は、酪農・畑作が盛んで、地域コミュニティのつながりが今も比較的強く残っているエリアです。高齢者が孤立しにくい環境や、農作業を通じた適度な運動習慣が、日々の健康長寿にしっかりとつながっている可能性があります。
また、これらの地域では、健康診断の受診率向上や、生活習慣病予防の啓発活動に、自治体が力を入れているケースも見られます。数字だけを見るのではなく、こうした地道な健康づくりの取り組みの積み重ねこそが、長寿という結果に結びついているのだと、私は考えています。
加えて、こうした地域では、三世代同居や、近隣住民同士の助け合いといった、昔ながらの生活スタイルが今も色濃く残っていることが多いのも特徴です。孤立を防ぐ社会的なつながりの強さが、精神的な健康を保つうえでも、大きな役割を果たしているのではないかと、私は感じています。
短命傾向にある地域の課題
一方、平均寿命が短い傾向にある地域には、かつての旧産炭地や、医療機関へのアクセスが不便な郡部が、数多く含まれています。こうした地域では、高齢化率の高さと相まって、独居高齢者の日々の健康管理や、通院の負担といった課題が、幾重にも重なり合っています。
除雪や公共交通の維持といった、北海道ならではの生活インフラの課題も、間接的にではありますが、健康寿命に確実に影響を与えていると考えられます。冬季に通院や買い物が困難になることで、持病の管理が行き届かなくなったり、外出機会が減って体力が低下したりするリスクが高まるためです。
私が特に気になっているのは、こうした地域での「フレイル」と呼ばれる、心身の活力が低下した状態のリスクです。外出機会の減少は、単に体力の低下を招くだけでなく、他者との会話や交流の機会も減らしてしまいます。身体面だけでなく、心の健康という側面からも、こうした地域の課題には目を向ける必要があると、私は考えています。
健康寿命を延ばすために、私たちができること
平均寿命を左右する要因の多くは、特別なことではなく、日々の生活習慣にごく身近に関わるものばかりです。減塩を意識した食生活、定期的な健康診断の受診、適度な運動習慣といった、ごく基本的な取り組みの積み重ねが、長い目で見れば非常に大きな差を生みます。
北海道の場合、特に冬季の運動不足は、決して見過ごせない大きな課題です。積雪期は外出がどうしてもおっくうになりがちですが、室内でできる簡単な運動や、除雪作業そのものを適度な運動として取り入れる工夫も、健康維持には十分に効果的です。私自身、冬場は意識的に体を動かす機会を作るようにしています。
移住・Uターンを考える際の視点として
北海道への移住や、実家へのUターンを考えている方にとって、平均寿命のデータは、地域の医療体制や生活環境を知る一つの手がかりになります。特に、高齢の親を呼び寄せる、あるいは自分自身が老後をどこで過ごすかを考える際には、その地域の医療アクセスの実情を、事前に確認しておくことをおすすめします。
平均寿命が短い地域だからといって、必ずしも住みにくいわけではありません。ただし、医療機関までの距離や、救急搬送にかかる時間といった具体的な情報は、暮らしの安心感に直結する重要な要素です。数字の背景にある実態まで踏み込んで調べることが、後悔のない選択につながるはずです。
【Know】平均寿命と健康寿命の違いを知っておきましょう
ここで、この記事の前提となる用語を整理しておきたいと思います。「平均寿命」とは、0歳児が今後何年生きられるかを示す指標です。一方で近年特に注目されているのが「健康寿命」で、これは介護を必要とせず、健康上の問題がない状態で、日常生活を自分らしく送れる期間を指します。
私がこの記事を書くにあたって特に強く意識したのは、平均寿命の数字だけを追いかけても、その人の生活の質までは決して見えてこないという点です。長生きすることと、元気に長生きすることは、似ているようでいて、実はまったく違う話なのです。北海道のデータを扱う際も、平均寿命というマクロな指標と、実際の健康状態という視点の両方を、バランスよく持つことが大切だと、私は考えています。
【Compare】十勝・根釧エリアと、他の地域を比較してみます
道内の平均寿命ランキングを見ていくと、地域による特徴の違いが浮かび上がってきます。私なりに整理してみました。
十勝・根釧エリア(音更町・中標津町など)
酪農・畑作を基幹産業とし、広い土地に人口が分散しているエリアです。ランキング上位の常連であり、地域コミュニティの結びつきの強さや、農作業を通じた日常的な運動習慣が、長寿の背景にあると考えられています。
札幌近郊エリア
都市機能が充実し、医療機関へのアクセスも比較的良好です。厚別区のように上位に入る区がある一方、区によって数値にばらつきがあり、都市部だからといって一律に長寿というわけではない点が興味深いところです。
旧産炭地・過疎エリア(芦別市など)
高齢化率が高く、医療アクセスに課題を抱える地域が多く含まれます。ランキング下位に入る傾向があり、生活習慣病の管理や、通院の負担といった課題が、平均寿命の短さと結びついていると考えられます。
こうして比較してみると、平均寿命の長短は、単純な都市・地方の対立構造ではなく、産業構造やコミュニティのあり方と、非常に深く結びついていることがよく分かります。
【Do】日々の暮らしで実践できる健康習慣
ここからは、実際に健康寿命を延ばすために、日々の暮らしで取り入れられる具体的な習慣についてお伝えします。
減塩を意識した食事の工夫
北海道特有の食文化を楽しみつつも、味噌汁や漬物、加工肉といった塩分の多い食品の摂取量を意識的に減らす工夫が効果的です。だしを効かせて塩分を控えめにする、麺類の汁を残すといった小さな習慣の積み重ねが、長期的には大きな違いを生みます。
冬季の運動不足対策
積雪期は外出がおっくうになりがちですが、除雪作業を軽い運動として捉えたり、屋内でできるストレッチや体操を日課にしたりすることで、活動量の低下を防げます。私自身、冬場は意識的に体を動かす時間を作るようにしています。
定期的な健康診断の受診
生活習慣病は、初期段階では自覚症状が出にくいことが大きな特徴です。年に一度の健康診断を欠かさず受けることで、高血圧や糖尿病といった代表的なリスクを早期に発見し、しっかりと対処することができます。
【Decide】移住・Uターン先を選ぶ際、医療体制をどう判断すべきか
最後に、北海道への移住や、実家へのUターンを検討する際、医療体制をどう判断基準に組み込むべきか、私なりの考えをお伝えします。
高齢の親を呼び寄せる予定がある場合や、自分自身の老後を見据えて移住先を選ぶ場合は、平均寿命ランキングの上位・下位だけで判断するのではなく、実際に最寄りの医療機関までの距離や、救急搬送体制、かかりつけ医を持てる環境かどうかを、具体的に確認することをおすすめします。
一方、健康なうちに移住を検討している若い世代であれば、平均寿命のデータよりも、日々の生活習慣を整えやすい環境かどうか(新鮮な食材が手に入りやすいか、運動できる環境が身近にあるかなど)を重視するという判断もあり得ます。ライフステージに応じて、着目すべきポイントを柔軟に変えていくことが大切だと、私は考えています。
私が実際に感じた、道内の医療アクセスの違い
私はこれまで、北海道各地を訪れる中で、地域による医療アクセスの違いを、実際に自分の肌で感じる機会が何度もありました。札幌市内であれば、専門医のいる大きな病院に、車で30分もかからずにたどり着けます。しかし、道東や道北の郡部では、専門的な治療を受けるために、片道2時間以上かけて都市部の病院まで通うという話を、何度も耳にしました。
ある道北の町にお住まいの方は、「持病の定期検診のために、月に一度、片道2時間近くかけて旭川まで通っている」と話していました。移動時間だけで半日以上かかるという負担は、都市部で暮らしていると、なかなか実感しにくいものです。こうした通院の負担が積み重なることで、通院そのものを諦めてしまったり、症状が悪化してから受診したりするケースが生まれてしまうのだと、私は理解しています。特に冬場は、悪天候による移動の危険性も加わり、この負担はさらに大きくなります。平均寿命の地域差という数字の裏には、こうした一人ひとりの具体的な事情が積み重なっているのだと、あらためて強く感じさせられました。統計の数字だけを追いかけていては、決して見えてこない実態がそこにはあります。
北海道の「食」と健康の複雑な関係
北海道の食は、日本国内でも屈指の豊かさを誇ります。新鮮な海産物、広大な大地で育まれる農作物、良質な乳製品。これらは、健康的な食生活を送るうえで、本来であれば大きなアドバンテージになるはずです。
しかし実際には、この食の豊かさが、必ずしも健康につながっていない側面があります。ジンギスカンやスープカレー、ラーメンといった北海道グルメの多くは、塩分や脂質が高めになりがちです。また、寒冷な気候の中で暮らす知恵として発達してきた、塩蔵・発酵といった保存食文化も、結果的に塩分摂取量を押し上げる要因になっています。私自身、北海道に来てから食生活が豊かになった実感がある一方で、意識して塩分を控えるようにしないと、あっという間に摂取量が増えてしまうことを、日々の暮らしの中で実感しています。
他の道県との比較から見える、北海道の立ち位置
平均寿命のランキング上位を占める滋賀県や長野県には、共通した特徴があります。長野県は、減塩運動への取り組みが盛んなことで全国的にも知られており、行政と住民が一体となった健康づくりの成功例として、しばしば取り上げられます。滋賀県も、健診受診率の高さや、生活習慣病予防への取り組みが評価されています。
一方、北海道は、広大な面積ゆえに、こうした健康施策を全道一律に展開することの難しさを抱えています。長野県のような比較的コンパクトな県土であれば、行政の施策が住民全体に行き渡りやすいのに対し、北海道では地域ごとの実情に応じたきめ細かな対応が必要になります。この構造的な違いが、平均寿命の差にも表れているのではないかと、私は考えています。
企業・自治体が取り組む健康寿命延伸の工夫
平均寿命・健康寿命の課題に対して、道内の自治体や企業も、さまざまな取り組みを進めています。私が知る範囲でいくつかご紹介します。
一部の自治体では、健診受診率を上げるための取り組みとして、受診者に地元特産品の割引券を配布するなど、参加のハードルを下げる工夫をしています。また、企業の健康経営の一環として、従業員向けの減塩弁当の提供や、社内での運動プログラムを導入する動きも広がっています。こうした官民一体の取り組みが、少しずつではあっても、地域の健康水準の底上げにつながっていくのではないかと、私は期待しています。特に、日常生活に無理なく取り入れられる工夫であるほど、長く続けやすく、結果的に効果も出やすいのではないかと感じています。
季節ごとの健康リスクと、その対策
北海道の健康を考えるうえで、季節による変動も見逃せないポイントです。冬季は、暖かい室内から寒い屋外への移動による血圧の急激な変動、いわゆる「ヒートショック」のリスクが高まります。特に、断熱性能の低い住宅では、この危険性がより顕著になります。
また、積雪による転倒事故や、除雪作業中の心血管系のトラブルも、冬季に特有のリスクです。私の周りでも、除雪中に体調を崩したという話を、毎年のように耳にします。高齢者だけでなく、現役世代であっても、無理のない範囲で除雪を行う、こまめに休憩を取るといった対策を心がけることが、大切だと感じています。
特に、早朝の除雪は要注意です。寝起きで体が温まっていない状態で急に体を動かすと、血圧が急上昇しやすくなります。除雪を始める前に軽く体を動かしてから取りかかる、厚着をして体を冷やさないようにするといった、ちょっとした工夫が、思わぬ事故を防ぐことにつながります。
この記事を書くにあたって参考にした情報
この記事の執筆にあたり、私は厚生労働省が毎年公表している都道府県別生命表・市区町村別生命表を中心に、北海道庁が公表している道民の健康と生活習慣に関する資料、そして各種の統計サイトを参考にしています。全国順位や道内市町村別のランキングについては、これらの公的統計をもとに丁寧に整理しました。あわせて、私自身が道内各地で見聞きした話も交えてお伝えしています。生命表は数年おきに更新されるため、最新の数値を確認したい場合は、厚生労働省や北海道庁が公表している一次情報も、あわせてチェックしていただくことをおすすめします。
平均寿命というテーマは、単なる統計上の数字である以上に、一人ひとりの暮らしや選択の積み重ねを、静かに映し出すものです。これからも、北海道の健康・人口データを継続的に追いかけながら、暮らしに役立つ確かな情報をお届けしていきたいと考えています。
男女差から見える、平均寿命の別の一面
統計を見ていく中で、私が興味深いと感じたのが、男女間の平均寿命の差です。北海道では男性80.28歳、女性86.77歳と、その差は6年以上に及びます。これは全国的な傾向とほぼ同じですが、北海道の場合、この差がやや大きく出る傾向があるとも言われています。
この背景には、喫煙率や飲酒習慣の男女差、そして働き方の違いなどが複雑に関係していると考えられます。北海道は、農林水産業や建設業など、体力を要する第一次産業・第二次産業の従事者の割合が、全国平均と比べて高い地域です。こうした職業は男性の従事者が多く、業務上のリスクや、不規則な生活習慣が、平均寿命の差に影響している可能性があります。私はこの点について、単なる生物学的な差だけでなく、働き方や社会構造の影響も含めて、多角的に理解する必要があると感じています。
加えて、健康診断や医療機関への受診に対する意識の男女差も、しばしば指摘されるポイントです。一般的に、女性は体調の変化に敏感で、早めに医療機関を受診する傾向があるのに対し、男性は多少の不調であれば「様子を見る」という選択をしがちだと言われています。北海道のように通院に時間と手間がかかる地域では、この傾向がより顕著に表れ、結果として症状の発見や治療の遅れにつながっている可能性も否定できません。私の周りの男性たちを見ていても、この傾向は決して他人事ではないと、強く感じます。
データの限界と、正しい向き合い方
ここで一つ、統計データを扱ううえで注意しておきたい点をお伝えします。平均寿命のランキングは、あくまである時点での集計値であり、その地域に住む個々人の未来を保証するものではありません。音更町に住んでいれば必ず長生きできる、芦別市に住んでいれば必ず短命になる、というような単純な話ではないのです。
また、市町村別のデータは、人口規模が小さい自治体ほど、数年間の死亡者数のわずかな変動によって、数値が大きく上下することがあります。ランキングの順位だけを見て一喜一憂するのではなく、複数年のトレンドや、その地域の医療・生活環境全体を踏まえて理解することが、より正確な捉え方につながると、私は考えています。
家族の健康を守るために、今日からできること
この記事を読んでくださっている方の中には、北海道で暮らす家族の健康を心配している方もいらっしゃるかもしれません。私からお伝えしたいのは、大きな制度や環境を変えることは難しくても、日々の小さな習慣の積み重ねは、誰にでも今日から始められるということです。
離れて暮らす家族がいる場合は、定期的な電話やビデオ通話で体調を気にかけるだけでも、大きな意味があります。特に冬季は、雪かきの負担や、外出機会の減少による体力低下が心配されるため、こまめな声かけが、思わぬ体調の変化に早く気づくきっかけになることもあります。私自身、離れて暮らす家族には、季節の変わり目には特に連絡を取るよう心がけています。
また、近年広がりを見せている見守りサービスや、緊急通報システムの活用も、有効な選択肢の一つです。高齢の家族が一人暮らしをしている場合、こうした仕組みを取り入れることで、離れて暮らす側の不安を大きく軽減できます。自治体によっては、こうしたサービスの導入費用を助成しているケースもあるため、お住まいの地域の制度を確認してみることをおすすめします。
これから北海道で暮らす方へのメッセージ
最後に、これから北海道への移住や、道内での新生活を考えている方に向けて、私自身の思いを込めたメッセージをお伝えしたいと思います。平均寿命というデータは、一見すると重く受け止めてしまいがちなテーマですが、正しく理解すれば、日々の暮らし方を見直す、とても良いきっかけになるはずです。
北海道の豊かな自然や食を楽しみながらも、塩分を意識した食生活や、冬季の運動習慣、そして定期的な健康診断を心がけることで、この土地でも十分に健やかな生活を送ることができるはずです。この記事が、そうした暮らし方を考えるきっかけになれば、筆者としてこれ以上嬉しいことはありません。
編集後記:数字の向こうにある、暮らしの物語
この記事を書き終えて、あらためて感じるのは、平均寿命という数字が、決して無機質な統計ではないということです。音更町で長く暮らす酪農家の日課、道北の町で通院を続ける方の地道な努力、そして地域医療を支えようとする医師や自治体職員の奮闘。そのひとつひとつの小さな物語が積み重なって、この数字は静かに成り立っています。
私自身、北海道で暮らす中で、この土地の豊かさと同時に、地域ごとの厳しい現実にも向き合ってきました。この記事が、単なるランキングとしてではなく、北海道という土地に暮らす人々の営みを知る、小さなきっかけになれば嬉しく思います。今後も、こうした視点を大切にしながら、北海道のデータと暮らしを結びつけて伝えていきたいと考えています。
次世代に健康な北海道を引き継ぐために
最後に、少し先の未来について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。今の子どもたちが大人になる頃、北海道の平均寿命はどうなっているでしょうか。塩分の多い食文化や、冬季の運動不足といった課題は、実は世代を超えて受け継がれやすいものです。だからこそ、子どものうちから健康的な生活習慣を身につけることが、長い目で見れば、地域全体の健康水準を底上げする力になると、私は考えています。
学校給食での減塩の工夫や、体育の授業を通じた運動習慣づくりなど、教育の現場でできることも数多くあります。一人ひとりの小さな習慣の積み重ねが、やがて統計上の数字にも表れてくるはずです。次の世代に、健康で豊かな北海道を引き継いでいくために、私たち一人ひとりにできることを、これからも考え続けていきたいと思います。
よくある質問
Q. 北海道の平均寿命は全国で何位ですか?
A. 2021年のデータで、男性は80.28歳で全国35位、女性は86.77歳で全国37位です。全国平均をわずかに下回る水準です。
Q. 北海道で最も平均寿命が長い市町村はどこですか?
A. 男性では音更町が81.7歳で最も長く、続いて中標津町、札幌市厚別区が80.6歳です。十勝・根釧エリアの町が上位に入っています。
Q. なぜ北海道の平均寿命は全国平均より短いのですか?
A. 塩分の多い食生活や、生活習慣病による死亡割合の高さ、そして医師数の地域偏在といった医療アクセスの課題が、複合的に影響していると考えられています。
Q. 道内の平均寿命の差はどれくらいありますか?
A. 市町村別で見ると、男性で5.2年、女性で5.8年の差があります。同じ北海道内でも、地域によって大きな健康格差が存在しています。
Q. 平均寿命と健康寿命は同じ意味ですか?
A. 異なります。平均寿命は0歳児が今後何年生きられるかを示す指標で、健康寿命は介護を必要とせず健康に日常生活を送れる期間を指します。長生きすることと、元気に長生きすることは、分けて考える必要があります。
Q. 北海道の男女間の平均寿命の差は大きいのですか?
A. 北海道では男女差が6年以上あり、全国的な傾向と比べてやや大きい傾向があります。第一次産業・第二次産業の従事者に男性が多いことなど、働き方の違いも影響していると考えられます。
Q. 平均寿命ランキングの数字は、どこまで信頼できますか?
A. 人口規模の小さい自治体では、わずかな死亡者数の変動で数値が大きく動くことがあります。単年のランキング順位だけでなく、複数年の傾向や地域の医療環境全体を踏まえて理解することをおすすめします。
Q. 北海道の医療アクセスは今後改善していきますか?
A. 地域枠での医学部入学制度や、オンライン診療の普及など、改善に向けた取り組みは着実に進んでいます。ただし、広大な面積と人口減少という構造的な課題があるため、すぐに全域で改善するとは考えにくく、今後も地域による差は残ると見られます。
まとめ
ここまで長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に、あらためて要点を振り返っておきたいと思います。
北海道の平均寿命は、男性35位・女性37位と、全国平均をやや下回る水準にあります。道内でも音更町のように80歳を超える長寿の町がある一方、芦別市のように76.8歳にとどまる自治体もあり、その差は5年前後にも及びます。背景には、塩分の多い食生活や、医師数の地域偏在といった課題があります。こうした課題は一朝一夕には解決しませんが、行政・企業・そして私たち一人ひとりの小さな取り組みの積み重ねが、少しずつ状況を変えていく力になるはずです。
この記事が、北海道の健康・医療の実態を知り、自分自身や家族の暮らし方をあらためて見直すきっかけになれば、筆者としてこれ以上嬉しいことはありません。
地域医療を支える人材確保の課題
平均寿命の地域差を解消していくうえで、避けて通れないのが医療人材の確保という課題です。北海道では、都市部の病院に医師が集中する一方、郡部の診療所では医師の高齢化と後継者不足が深刻化しています。私が取材や情報収集を通じて知った中には、地域で唯一の医師が定年を迎えても、後任が見つからず、診療所の存続そのものが危ぶまれているというケースもありました。こうした話を聞くたびに、地域医療という基盤が、いかに危うい均衡の上に成り立っているかを思い知らされます。
こうした状況を受けて、北海道内の医育大学では、地域医療に従事することを条件とした奨学金制度や、地域枠での医学部入学制度を設けています。若い医師が地域医療に興味を持ち、実際にそこで長く働き続けたいと思えるような環境づくりが、長期的な医療アクセスの改善には何よりも欠かせません。私はこうした地道な取り組みの積み重ねが、時間はかかっても、いずれ地域間の平均寿命の差を縮めていく確かな力になると信じています。
遠隔医療がもたらす可能性
医療人材の偏在という構造的な課題に対して、近年注目されているのが、オンライン診療をはじめとする遠隔医療の活用です。北海道は、こうした技術を最も必要としている地域の一つだと、私は考えています。
実際、道内のいくつかの地域では、専門医のいる都市部の病院と、郡部の診療所をオンラインでつなぎ、専門的な診断や治療方針の相談を行う取り組みがすでに始まっています。移動の負担を減らしながら、専門的な医療にアクセスできる仕組みが広がっていけば、これまで通院そのものを諦めていた方々にも、医療の手が届きやすくなるはずです。デジタル技術の進化が、北海道の地域医療の課題を解決する、大きな糸口になることを、私は期待を込めて見守っています。技術の力と、人と人とのつながりの両方が支え合ってこそ、本当に意味のある医療体制が築かれていくのだと思います。
健診・検診を受けやすくする工夫
平均寿命を延ばすうえで、病気の早期発見は欠かせない要素です。しかし、北海道の郡部では、健診会場までの距離や、農繁期との兼ね合いから、受診率が伸び悩む地域も少なくありません。
こうした課題に対応するため、一部の自治体では、健診バスを地域の集会所に巡回させたり、農閑期に合わせて健診の日程を調整したりと、住民の実情に寄り添った工夫を重ねています。私はこうした「受診しやすい環境づくり」こそが、一見地味に見えながらも、最も効果的な対策の一つだと感じています。制度や技術の整備と同時に、住民一人ひとりが検診を「受けやすい」と感じられる工夫の積み重ねが、これからの北海道の健康づくりには欠かせないのではないでしょうか。
