結論から言うと、迫力と「クマ博物館級の学び」を求めるなら「のぼりべつクマ牧場」、家族連れでコンパクトに気軽にヒグマと触れ合いたいなら「昭和新山クマ牧場」がおすすめです。理由は単純で、この2つの牧場は同じ「ヒグマを間近で見られる施設」でありながら、アクセス方法も料金も、見せ方のコンセプトもかなり違うからです。私は登別と洞爺湖、どちらにも何度も足を運んできました。
ロープウェイでしか行けない登別の非日常感と、駐車場からすぐ入れる昭和新山の手軽さ、その両方を知っているからこそ言えることがあります。この記事では、アクセス・料金・見どころ・雰囲気の4つの軸で2つのクマ牧場を徹底的に比較し、あなたの旅のスタイルに合った選び方を提案します。
のぼりべつクマ牧場と昭和新山クマ牧場、まず基本のキ
比較を始める前に、それぞれがどんな施設なのか整理しておきます。名前が似ているので混同されがちですが、成り立ちも立地もまったく別物です。
のぼりべつクマ牧場は、登別温泉街の南東にそびえる四方嶺(しほうれい)という山の山頂にあります。1958年開業で、ロープウェイでしか行けない「山の上のクマ牧場」です。ヒグマ博物館とアイヌ生活資料館を併設していて、観光施設というより「研究施設寄りのクマ牧場」という印象を私は持っています。
昭和新山クマ牧場は、洞爺湖のほとりにそびえる昭和新山のふもとにあります。こちらも1958年開業で、こちらは車で入り口のすぐそばまで行けます。60頭から70頭ものヒグマを飼育していて、国内でも屈指の飼育頭数を誇ります。餌やり体験のしやすさで言えば、私はこちらに軍配を上げたいです。
どちらも「ヒグマを間近で見られる」という一点は共通していますが、そこにたどり着くまでの体験がまるで違います。この違いこそが、今回の記事でいちばん伝えたいポイントです。
のぼりべつクマ牧場の見どころ
のぼりべつクマ牧場の最大の特徴は、ロープウェイでのアプローチです。登別温泉街からロープウェイに乗り込むと、約7分で四方嶺の山頂駅に到着します。窓の外には登別の山々や、天気が良ければ噴煙を上げる地獄谷まで見渡せます。正直に言うと、私はこのロープウェイの時点でもうワクワクしてしまいます。クマ牧場というより「山岳観光」の入口という感覚です。
山頂に着くと、まず出迎えてくれるのが「ヒトのオリ」です。名前の通り、人間側が檻に入ってヒグマを観察する仕掛けで、ガラス越しにヒグマの爪や息づかいを至近距離で感じられます。私が初めてここに入ったとき、ガラスのすぐ向こうにヒグマの顔が来て、思わず声を上げてしまったのを覚えています。あの迫力は写真では絶対に伝わりません。
もうひとつの目玉が「ヒグマ博物館」です。1958年の開園以来ずっと研究を積み重ねてきた、世界でも珍しいヒグマ専門の博物館で、骨格標本や生態解説が充実しています。単に「かわいい」で終わらせない、しっかり学べる展示だと感じます。
敷地内には「アイヌ生活資料館」もあり、アイヌ民族の生活用具がおよそ300点展示されています。丸木舟の「ポロチプ」や首飾りの「タマサイ」、刀の「エムシ」など、北海道の先住民文化に触れられる貴重な場所です。クマ牧場に来たはずが、気づけば1時間近くアイヌ文化の展示を眺めていた、ということが私にはよくあります。
子熊が暮らす「小グマ牧場」もあり、成獣とはまた違う愛嬌のある姿を見ることができます。2025年時点でおよそ66頭のヒグマが飼育されており、オス・メスをグループ分けして管理しているそうです。
昭和新山クマ牧場の見どころ
昭和新山クマ牧場は、洞爺湖畔にある昭和新山のふもとという立地です。昭和新山は1943年から1945年にかけての火山活動で麦畑が隆起してできた、地質学的にも非常に珍しい山で、その特異な景観とセットで楽しめるのが魅力です。私は洞爺湖観光の途中でふらっと立ち寄れる気軽さが好きで、何度も再訪しています。
この牧場のいちばんの強みは、飼育頭数の多さです。60頭から70頭ものヒグマがおり、国内トップクラスの規模です。これだけ多くのヒグマが一箇所に集まっている光景は壮観で、初めて訪れたときは、その数の多さに圧倒された記憶があります。施設は「大牧場」「こぐまの幼稚園」「くまのアパート」「若くま牧場」「あらいぐま牧場」といくつかのエリアに分かれていて、成長段階の違うヒグマを見比べられるのが面白いところです。
大牧場には、のぼりべつと同じ発想の「人のおり」があります。格子とガラス越しにヒグマを間近で観察でき、通気口からはヒグマの息づかいまで聞こえてくるそうです。私が行ったときは、すぐ目の前にヒグマが座り込んで、こちらをじっと見つめてくる瞬間があり、動物園というより野生に近い緊張感を味わいました。
餌やり体験も昭和新山クマ牧場の楽しみのひとつです。基本はクッキーですが、時期によってはリンゴを丸ごと1個あげられることもあります。ヒグマが器用に前足でリンゴを受け取る姿は、何度見ても飽きません。「こぐまの幼稚園」では、小熊たちが取っ組み合って遊ぶ様子を見られ、家族連れやカップルには特に人気があるようです。
アクセスを比較する
アクセス面での違いは、この2つを比較するうえで最も大きなポイントだと私は思っています。
のぼりべつクマ牧場へは、JR登別駅から登別温泉バスターミナルまでバスでおよそ15分、そこからロープウェイ乗り場まで徒歩5分ほどです。車の場合は道央自動車道の登別東インターチェンジから10分ほどで、ロープウェイ乗り場に到着します。
ロープウェイの往復運賃は入園料に含まれているので、別途チケットを買う必要はありません。ただし公共交通機関だけで行こうとすると、バスとロープウェイの乗り継ぎがあるぶん、多少の計画性が必要です。
昭和新山クマ牧場へは、JR洞爺駅から車でおよそ20分、道央自動車道の伊達インターチェンジからは15分ほどです。札幌方面からだと中山峠経由でおよそ2時間30分かかります。駐車場も普通車100台、バス15台分と広く用意されていて、車でのアクセスは非常にスムーズです。ただし公共交通機関だけで行くには少し不便で、洞爺湖温泉からタクシーやレンタカーを使うのが現実的です。
まとめると、公共交通機関中心の旅ならのぼりべつクマ牧場のほうが行きやすく、レンタカーでの周遊旅行なら昭和新山クマ牧場のほうがアクセスしやすい、という住み分けになります。
料金を比較する
料金面でも、はっきりとした違いがあります。のぼりべつクマ牧場は大人3,200円、子ども(4歳から小学6年生まで)1,600円、3歳以下は無料です。ロープウェイ代がこの中に含まれていることを考えると、決して高すぎる設定ではないと私は感じます。
一方の昭和新山クマ牧場は、大人(中学生以上)1,000円、小人(6歳以上)500円と、かなりリーズナブルです。支払いは現金のみなので、財布に現金を用意しておく必要があります。身体障害者手帳などの提示で本人が半額になる割引制度もあります。
単純な入園料だけを見れば昭和新山クマ牧場のほうが安いのですが、のぼりべつクマ牧場はロープウェイという「乗り物体験」込みの料金だと考えると、コストパフォーマンスの比較は単純ではありません。私の感覚では、「ヒグマだけを気軽に見たい」なら昭和新山、「ロープウェイからの景色や博物館的な学びまで含めた体験」を求めるならのぼりべつ、という違いだと思っています。
雰囲気と混雑具合を比較する
雰囲気の違いも見逃せません。のぼりべつクマ牧場は登別温泉という一大観光地の中にあるため、団体観光客や外国人観光客でにぎわう時間帯が多いです。特に午前中から昼過ぎにかけては、ロープウェイ乗り場に列ができることもあります。私が行くときは、朝いちばんか、夕方の便を狙うようにしています。
昭和新山クマ牧場は洞爺湖観光の「ついで」に寄る人が多い印象で、のぼりべつほど混雑しません。駐車場から入り口までも近く、さっと入ってさっと出られる身軽さがあります。ゆったりとヒグマを観察したい人には、こちらのほうが向いているかもしれません。
また、のぼりべつクマ牧場はアイヌ資料館やヒグマ博物館があるぶん、滞在時間が長くなりがちです。じっくり2時間くらいかけて回る人が多い印象です。昭和新山クマ牧場は1時間前後でも十分に楽しめるコンパクトさがあります。
実際に両方に行ってみて感じたこと
私自身、同じ旅程の中で両方を訪れたことがあります。朝はのぼりべつクマ牧場でロープウェイに乗り、ヒグマ博物館とアイヌ資料館をじっくり見学しました。「ヒトのオリ」でヒグマの息づかいを間近に感じたあと、少し放心状態になったのを覚えています。あれは本当に迫力があります。
その日の午後、洞爺湖方面へ移動して昭和新山クマ牧場に立ち寄りました。車を停めてすぐ入園でき、リンゴをあげようとヒグマが前足を伸ばしてくる様子に、朝とはまた違う「かわいさ」を感じました。同じヒグマでも、施設の見せ方でこんなに印象が変わるものかと驚いた記憶があります。
正直なところ、登別と洞爺湖はそれなりに距離があるので、1日で両方を回るのはやや忙しいスケジュールになります。移動時間だけで1時間半から2時間ほど見ておく必要があります。じっくり両方を楽しみたいなら、1泊2日で登別と洞爺湖をそれぞれ拠点にするのが理想的だと私は思います。
移動中の道路は、洞爺湖と登別を結ぶ国道やオロフレ峠を通るルートなど複数あり、季節によって景色ががらりと変わります。夏は新緑、秋は紅葉が美しく、車の窓越しに見える山々もまた北海道旅行の醍醐味のひとつです。私はこの移動時間自体も旅の一部として楽しむようにしていて、道中の展望台に立ち寄ってひと休みすることもよくあります。焦らず余裕を持ったスケジュールを組むことが、結果的にどちらのクマ牧場もじっくり楽しむコツだと感じています。
どちらが楽しいか
これは完全に好みにはなると思うのですが、私はのぼりべつクマ牧場の方が楽しいと思いました。純粋に見どころが多いと感じました。料金面で考えると少しお高いのですが、ヒグマを十分に楽しみたいと思った場合、のぼりべつクマ牧場を推したいと思います。
1日のモデルコースと予算の目安
実際にどちらか一方を訪れる場合の、モデルコースと予算感をまとめておきます。旅行の計画を立てるときの参考にしてください。
のぼりべつクマ牧場を中心にした半日コースの場合、登別温泉に到着後、まず地獄谷を散策し、そのあとロープウェイでのぼりべつクマ牧場へ向かうという流れが定番です。入園料は大人3,200円、見学時間はヒグマ博物館とアイヌ資料館を含めて1時間半から2時間ほど見ておくとよいでしょう。見学後は温泉街に戻り、日帰り入浴施設で汗を流す、という流れにすると、移動の無駄がありません。交通費込みで考えると、大人1人あたり4,000円から5,000円程度が目安になります。
昭和新山クマ牧場を中心にした半日コースの場合、洞爺湖畔を散策したあと、車で昭和新山クマ牧場へ向かい、餌やり体験を楽しみます。入園料は大人1,000円と手頃なので、餌代を含めても1,500円前後で収まることが多いです。見学時間は1時間前後が目安で、そのあと洞爺湖の遊覧船や有珠山ロープウェイに立ち寄る余裕も生まれます。家族4人で回っても、入園料だけなら3,000円程度に収まるのは、家計にもやさしいポイントだと思います。
予算を抑えたいファミリー旅行なら昭和新山クマ牧場、多少コストがかかっても特別な体験を優先したいなら、のぼりべつクマ牧場のロープウェイ込みのプランを選ぶ、という考え方もできます。
宿泊費まで含めたトータルの旅費で考えると、登別温泉も洞爺湖温泉も、宿泊施設のグレードによって価格帯が大きく変わります。日帰り温泉だけを利用してクマ牧場観光を楽しむプランなら、比較的リーズナブルに収まりますし、せっかくなら高級旅館に泊まって温泉とヒグマ観光をどちらも贅沢に楽しむ、という選び方もできます。旅の目的や予算に応じて、柔軟にプランを組み立てられるのも、この2つのエリアの魅力だと思います。
ヒグマの一日の様子を観察してわかったこと
何度も通ううちに気づいたのですが、ヒグマにも一日のリズムがあります。午前中は比較的活発に動き回っていることが多く、餌やりの時間帯には柵の近くまで寄ってくる個体が目立ちます。逆に日差しの強い昼過ぎは、木陰や物陰でじっとしていることが多く、なかなか姿を見せてくれないこともあります。
のぼりべつクマ牧場でも昭和新山クマ牧場でも、朝いちばんの時間帯に訪れると、ヒグマたちの活動的な姿を見られる可能性が高いです。逆に、のんびりと寝そべる姿をじっくり観察したいなら、午後の落ち着いた時間帯のほうが向いているかもしれません。私は何度か時間帯を変えて訪れましたが、同じ個体でもまったく違う表情を見せてくれるのが面白く、飽きることがありませんでした。
季節による違いも興味深いです。秋には冬眠に備えて食欲が増す時期があり、餌やり体験でもヒグマたちの反応が特に活発になります。逆に真冬は、動きが緩慢になる個体もいて、じっくりと落ち着いた観察ができます。こうした季節ごとの違いも、複数回訪れることで見えてくる魅力のひとつだと思います。
結局どっちに行くべきか、タイプ別におすすめ
ここまでの比較を踏まえて、タイプ別におすすめをまとめます。
ロープウェイからの景色も含めて非日常感を味わいたい人、ヒグマの生態やアイヌ文化までしっかり学びたい人には、のぼりべつクマ牧場が向いています。登別温泉に宿泊する予定がある人にとっては、温泉街からのアクセスも良く、旅程に組み込みやすいはずです。
小さなお子さん連れで、気軽に立ち寄りたい人、洞爺湖観光と昭和新山の景観をセットで楽しみたい人には、昭和新山クマ牧場が向いています。入園料が手頃で、駐車場からすぐ入れる手軽さも家族旅行にはうれしいポイントです。
時間と予算に余裕があるなら、私としては両方訪れることを強くおすすめします。同じヒグマでも、施設ごとの見せ方や飼育スタイルの違いを比べること自体が、とても面白い体験になるからです。登別温泉と洞爺湖温泉、どちらも北海道を代表する温泉地なので、宿泊とあわせて周遊するプランはとても組みやすいと思います。
友人や家族から「北海道でクマを見たいけれど、どちらに行けばいいか」と相談されたとき、私はいつもその人の旅の目的を聞くようにしています。写真映えや体験の特別感を重視するならのぼりべつクマ牧場、コストと時間を抑えて手軽に楽しみたいなら昭和新山クマ牧場、というように、旅の優先順位に合わせて提案すると、たいてい満足してもらえます。この記事を読んでいるあなたも、自分の旅のスタイルに照らし合わせて、ぴったりのほうを選んでみてください。
2つの牧場が生まれた歴史的背景
のぼりべつクマ牧場も昭和新山クマ牧場も、実は同じ1958年に開業しています。奇しくも同じ年に、北海道の東西で似たコンセプトの施設が生まれたわけです。この偶然を知ってから、私はこの2つの牧場を「兄弟のような施設」だと思うようになりました。
のぼりべつクマ牧場は、登別温泉という古くからの湯治場の観光資源として、ロープウェイという当時としては先進的な乗り物とセットで整備されました。研究機関としての側面も強く、開業当初からヒグマの生態調査を続けてきた歴史があります。だからこそ、今もヒグマ博物館という形で、その蓄積が展示に活きています。
昭和新山クマ牧場は、1943年から1945年にかけての火山活動でできたばかりの昭和新山という、地質学的にも特異な場所のふもとに作られました。できたばかりの山と、そこに暮らすヒグマという組み合わせ自体が、当時から観光的な話題性を持っていたのだと思います。今でも昭和新山の荒々しい山肌を背景にヒグマを眺められるのは、この施設ならではの体験です。
同じ年に生まれ、同じヒグマを扱いながら、これほど違うコンセプトに育っていったというのは、北海道観光の奥深さを象徴しているように私には感じられます。
営業時間と季節ごとの楽しみ方の違い
営業時間にも違いがあります。昭和新山クマ牧場は年中無休の通年営業で、5月から10月は8時30分から17時まで、11月から4月は8時30分から16時30分までとなっています。年末年始も12月31日と1月1日は時間短縮で営業しているので、冬の洞爺湖旅行のスケジュールにも組み込みやすい施設です。
のぼりべつクマ牧場も基本的には通年で営業していますが、夏期は9時から17時、冬期は9時30分から16時30分と、季節で営業時間が変わります。積雪期はロープウェイの運行状況が天候に左右されることもあるので、冬に訪れる場合は事前に公式サイトで運行状況を確認しておくと安心です。また2026年は4月6日から4月24日にかけて施設保守のため休園予定となっているので、この時期に訪れる予定がある方は特に注意してください。
私自身、真冬にのぼりべつクマ牧場を訪れたことがありますが、雪化粧した四方嶺の景色をロープウェイから眺められるのは、夏とはまったく違う魅力でした。ヒグマたちも冬毛でふっくらとしていて、夏場より一段と貫禄がある姿を見せてくれます。昭和新山クマ牧場も、雪をかぶった昭和新山を背景にヒグマを見られる冬ならではの景観があり、どちらの施設も四季を通じて楽しめると私は思っています。
周辺観光との組み合わせやすさ
クマ牧場単体で終わらせず、周辺観光とセットで考えるのも旅程を組むうえで大切なポイントです。
のぼりべつクマ牧場は登別温泉のど真ん中にあるので、地獄谷や大湯沼、登別温泉の日帰り入浴施設とセットで回るのが定番です。ロープウェイ乗り場から温泉街まで徒歩圏内なので、クマ牧場を見学したあとにそのまま温泉街を散策し、地獄谷まで足を延ばす、という半日コースが組みやすいです。私も何度かこの流れで登別を満喫しています。
昭和新山クマ牧場は洞爺湖畔にあるため、洞爺湖の遊覧船や有珠山ロープウェイ、道の駅などとセットで回るのが自然です。洞爺湖温泉に宿泊する予定があるなら、チェックイン前の午後に立ち寄る、あるいはチェックアウト後に立ち寄るという組み方がしやすく、洞爺湖観光の動線にきれいに収まります。
登別と洞爺湖はどちらも道央自動車道でつながっているので、レンタカー旅であれば「登別温泉で一泊、翌日洞爺湖へ移動してもう一泊」という定番の周遊ルートに、それぞれのクマ牧場を組み込むのが効率的です。
飼育数・展示内容の一覧比較
最後に、ここまでの内容を項目ごとに整理しておきます。立地について。のぼりべつクマ牧場は登別温泉街の山頂、昭和新山クマ牧場は洞爺湖畔の昭和新山ふもとです。アクセス手段について。のぼりべつクマ牧場はロープウェイが必須、昭和新山クマ牧場は車での来園が中心です。
入園料について。のぼりべつクマ牧場は大人3,200円、昭和新山クマ牧場は大人1,000円です。飼育頭数について。のぼりべつクマ牧場は約66頭、昭和新山クマ牧場は60頭から70頭です。特徴的な展示について。のぼりべつクマ牧場はヒグマ博物館とアイヌ資料館、昭和新山クマ牧場はエリア分けされた牧場と豊富な餌やり体験です。
こうして並べてみると、単純な優劣ではなく、旅のスタイルによって選ぶべき施設が変わってくることがよくわかります。付け加えると、施設としての「学びの深さ」を重視するならのぼりべつクマ牧場、「触れ合いの気軽さ」を重視するなら昭和新山クマ牧場、という軸で考えるとさらに選びやすくなると思います。
私は毎年のように北海道内を旅していますが、初めて北海道でヒグマ観光をする人には、まず昭和新山クマ牧場でヒグマの愛嬌に触れてもらい、次の機会にのぼりべつクマ牧場でロープウェイと博物館の体験をしてもらう、という順番をおすすめすることが多いです。逆に、すでに何度も北海道を訪れていて、より深い体験を求めている人には、最初からのぼりべつクマ牧場をすすめています。
お土産・グルメも意外と違う
クマ牧場と言えば、売店のお土産も旅の楽しみのひとつです。のぼりべつクマ牧場の売店では、ヒグマをモチーフにしたぬいぐるみやお菓子はもちろん、アイヌ文化に関連した木彫りの工芸品なども扱われています。木彫りの熊の置物は北海道土産の定番ですが、こういった専門施設で買うと、由来やストーリーも含めて味わい深く感じられます。私は毎回、家族への土産にヒグマ型のクッキーを買って帰っています。
昭和新山クマ牧場の売店は、餌やり用のクッキーやリンゴの販売が中心で、お土産というより「体験のための売店」という色合いが強いです。とはいえ、こちらもヒグマグッズは充実していて、特に子熊のぬいぐるみはお子さんに人気があります。洞爺湖周辺は温泉まんじゅうなど食べ物のお土産も豊富なので、クマ牧場のグッズと合わせて洞爺湖温泉街でグルメを楽しむ、という組み合わせもおすすめです。
どちらの施設も、売店をひやかすだけでも意外と時間を使ってしまうので、見学時間には少し余裕を持たせておくとよいと思います。
ヒグマという動物について知っておきたいこと
クマ牧場で見るヒグマは、柵やガラスの向こうにいる管理された個体ですが、北海道にはもちろん野生のヒグマも生息しています。ヒグマは日本最大の陸上動物で、オスの成獣は体長2メートルを超え、体重が300キロを超える個体も珍しくありません。クマ牧場で間近に見ると、その体の大きさと前足の太さに圧倒される人がほとんどです。
野生のヒグマは非常に警戒心が強く、基本的には人を避けて暮らしています。とはいえ、山菜採りや登山、ハンティングなどで山に入る際には、遭遇のリスクをゼロにすることはできません。当サイトでは「北海道ヒグマ警戒レベルとは」という記事で、登山者や狩猟者向けの警戒レベルの仕組みについても詳しく解説していますので、これから北海道の山に入る予定がある方は、あわせて読んでおくことをおすすめします。

クマ牧場で見る愛嬌のある姿と、野山で出会う野生のヒグマはまったく別物だということを、頭の片隅に置いておいてほしいです。
クマ牧場は、管理された安全な環境でヒグマの迫力や生態を学べる、とても貴重な場所です。だからこそ、私は北海道を訪れる人にはぜひ一度、実際にヒグマを間近で見る体験をしてほしいと思っています。写真や映像で見るのと、実際にガラス一枚を隔てて対峙するのとでは、受ける印象がまったく違います。
よくある質問
Q. のぼりべつクマ牧場と昭和新山クマ牧場、どちらが北海道らしい体験ができますか。
A. どちらも北海道らしい体験ができますが、性質が違います。のぼりべつクマ牧場はロープウェイでの山岳景観とアイヌ文化の展示、昭和新山クマ牧場は火山地形と間近な餌やり体験が特徴です。両方訪れると、北海道の自然と文化の幅広さを実感できます。
Q. 小さな子ども連れの場合、どちらが向いていますか。
A. 移動のしやすさで言えば、車でそのまま入園できる昭和新山クマ牧場のほうが小さなお子さん連れには負担が少ないと感じます。滞在時間も短めで済むので、ぐずってしまう前に見学を終えられます。
Q. ロープウェイが苦手なのですが、のぼりべつクマ牧場は避けたほうがいいですか。
A. ロープウェイは約7分の乗車で、比較的安定した揺れの少ないタイプです。高所が極端に苦手でなければ、多くの人が問題なく利用しています。それでも不安が強い場合は、昭和新山クマ牧場を選ぶのもひとつの手です。
Q. 両方を1日で回ることはできますか。
A. 距離があるためタイトなスケジュールになります。登別と洞爺湖の移動だけで1時間半から2時間ほどかかるため、それぞれをじっくり見学したい場合は1泊2日以上の日程を組むことをおすすめします。
Q. 餌やり体験はどちらの施設でもできますか。
A. どちらの施設でも餌やり体験ができます。昭和新山クマ牧場ではクッキーやリンゴを使った餌やりが人気で、のぼりべつクマ牧場でも売店でエサを購入してヒグマに与えることができます。
Q. 雨の日でも楽しめますか。
A. のぼりべつクマ牧場はヒグマ博物館やアイヌ資料館など屋内展示が充実しているため、雨の日でも比較的楽しみやすい施設です。昭和新山クマ牧場は屋外エリアが中心なので、雨具の準備をしておくと安心です。
Q. どちらの施設もヒグマは安全に見られますか。
A. どちらの施設も、来園者とヒグマの間にしっかりとした柵やガラスがあり、安全に配慮された設計になっています。野生のヒグマと遭遇する危険性とはまったく別の、管理された環境での観察だと理解しておくと安心です。
Q. 混雑を避けるにはいつ行くのがいいですか。
A. のぼりべつクマ牧場は午前中から昼過ぎにかけて団体客で混みやすいので、朝いちばんか夕方が狙い目です。昭和新山クマ牧場は比較的空いていますが、大型連休やお盆の時期は駐車場が混み合うことがあります。
Q. 写真撮影はどちらの施設がしやすいですか。
A. どちらもガラス越しの撮影が中心になりますが、昭和新山クマ牧場は屋外の大牧場で自然光の中でヒグマを撮影しやすく、写真映えを狙うならこちらが有利だと感じます。のぼりべつクマ牧場はロープウェイからの景色や、ヒグマ博物館の展示物も含めて撮影スポットが多く、写真のバリエーションを出しやすいです。フラッシュ撮影は多くの場合ヒグマを驚かせてしまうため、どちらの施設でも控えるのがマナーです。
Q. 車椅子やベビーカーでも見学できますか。
A. 昭和新山クマ牧場は地面が比較的平坦で、車椅子やベビーカーでも回りやすい構造です。のぼりべつクマ牧場はロープウェイの乗り降りや山頂エリアの一部に段差があるため、事前に公式サイトでバリアフリー対応の状況を確認しておくと安心です。どちらの施設もスタッフに相談すれば、可能な範囲でサポートしてもらえます。
見学時のマナーと注意点
どちらの施設でも、ヒグマは野生の力強さを持った動物であることを忘れてはいけません。柵やガラス越しとはいえ、大きな声を出したり、手を伸ばして無理に触れようとしたりする行為は、ヒグマにストレスを与えるだけでなく、思わぬ事故につながる可能性もあります。私が見てきた限り、ほとんどの来園者はきちんとマナーを守っていますが、ときどき柵を越えて手を伸ばそうとする人を見かけることがあり、ひやりとする瞬間もあります。
餌やりをする際は、施設のスタッフが用意したエサを、指定された方法で与えるのが鉄則です。自分で持ち込んだ食べ物を与えることは、ヒグマの健康管理の観点からも禁止されています。また、フラッシュ撮影や大きな物音は、ヒグマを驚かせてしまうことがあるので控えるようにしましょう。
小さなお子さんを連れて行く場合は、事前に「クマは野生動物であり、ペットとは違う」ということを伝えておくと、より安全に、そして学びのある見学になると思います。私自身、姪や甥を連れて行ったときは、見学前にこうした話をするようにしています。
団体旅行・観光バスツアーとの相性
個人旅行だけでなく、団体旅行やバスツアーとの相性も比較しておきます。のぼりべつクマ牧場は登別温泉という大観光地の中心にあるため、道内周遊バスツアーの定番コースに組み込まれていることが多いです。札幌や函館からの日帰りツアー、あるいは登別温泉宿泊プランのオプションとして組み込まれるケースをよく見かけます。ロープウェイの乗車も含めてスケジュールが組みやすいため、添乗員さん付きのツアーでも扱いやすい施設なのだと思います。
昭和新山クマ牧場は、洞爺湖・有珠山方面の周遊コースに組み込まれることが多いです。洞爺湖の遊覧船や有珠山ロープウェイ、道の駅とセットで、洞爺湖観光の一環として立ち寄るパターンが一般的です。滞在時間が短めで済むので、忙しい弾丸ツアーのスケジュールにも組み込みやすいという特徴があります。
個人的には、団体ツアーで訪れるよりも、自分のペースでゆっくり観察できる個人旅行のほうが、ヒグマの表情や仕草をじっくり楽しめると感じています。もしツアーで訪れた場合でも、滞在時間内でできるだけヒグマ博物館やアイヌ資料館、あるいは各エリアの牧場をまんべんなく回ることをおすすめします。
海外からの観光客にとっても、ヒグマ観光は北海道旅行の目玉のひとつです。実際、のぼりべつクマ牧場も昭和新山クマ牧場も、多言語対応の案内板やスタッフを用意しており、外国人旅行者のグループを見かけることが年々増えている印象があります。国内外を問わず、多くの人にとって「野生に近いヒグマを安全な環境で見られる」という体験は、北海道でしか味わえない特別なものなのだと、現地に住んでいる私自身、あらためて実感させられます。
まとめ
のぼりべつクマ牧場と昭和新山クマ牧場は、どちらも北海道を代表するヒグマ観光施設ですが、その中身はかなり違います。ロープウェイでの非日常感と学びの深さを求めるならのぼりべつクマ牧場、気軽さとコストパフォーマンスを求めるなら昭和新山クマ牧場です。私自身、何度訪れても飽きないのは、この2つの施設がまったく違う角度からヒグマという同じ動物を見せてくれるからだと感じています。旅程やご家族の状況に合わせて、ぜひ自分に合ったクマ牧場を選んでみてください。時間が許すなら、両方訪れて見比べてみることを、私は心からおすすめします。
最後にもうひとつだけ伝えたいのは、どちらの施設も、単なる「かわいい動物を見る場所」ではないということです。北海道という土地に古くから根付いてきたヒグマという存在、そしてそこに寄り添ってきたアイヌの人々の文化や、火山とともに生きてきた洞爺湖周辺の暮らし。クマ牧場を訪れることは、そうした北海道の自然と歴史に触れる小さな入口でもあります。次の北海道旅行では、ぜひこの2つのクマ牧場のどちらか、あるいは両方に足を運んでみてください。




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